<往復書簡 4 三島太郎>
立川さんの書簡にあった「上海摩登」の海野弘氏が解説・監修を手掛けた「ジョルジュ・バルビエ-優美と幻想のイラストレーター- 」を入手。美麗なイラストレーションと分かりやすい解説がみっちり詰め込まれた、しばし現実逃避をしたいときにはぴったりの本。同じく海野氏が手掛けたアイルランドの挿絵画家でありステンドグラス職人でもあったというハリー・クラークの作品集も注文済みで、到着が楽しみだ。
熱海に年末の小旅行。こういう時は買ったままで読んでいなかった本を読む絶好の機会、と「流星ひとつ」(沢木耕太郎・著)をカバンに入れる。1979年、28歳で芸能界を引退する直前の藤圭子氏へのインタビューを会話形式にまとめたもの。沢木氏はいくつかの理由からこの本の出版を断念したが、藤氏がこの世を去った後、30年以上眠らせていたこの本の出版を決意する。真摯に歌に向き合い、凄絶な環境に傷つきながらも前向きに生きようとする若き日の彼女の姿が鮮やかに描き出されている。
熱海ではたまたま遭遇した「熱海海上花火大会」に見惚れる。今年の夏はコロナで中止だったらしいが年間を通して行われている催しらしい。泊まった部屋の位置が良かったこともあるが、あんなに見事なものだとは知らなかった。熱海の街もかなり活気を取り戻していて、なんとかこのままコロナ禍が終わればいいがと祈るような気持ちになる。
近頃は飲食店の人たちにも「SNSは効く」という認識が広まりつつあるようで、ときどき店主たちに「どう思う?」と聞かれたりする。「まぁうまくやればお客は増えるだろうけど、その代わり、結構いろんな人が来るよ?」と答えると、店主たち、あんまり変なのに来られてもなぁ…と黙るパターンが多く、こちらもそりゃそうだろうねと思うのでそれ以上は言わないでいる。
契約関係などで少しお手伝いをした「ねこぢるまんじゅう・フランス語版」がフランス語圏で無事出版され、本が送られてきた。20数年前の異国の漫画が出版されるフランスの文化的多様性は凄いなと思う。
Netflixオリジナルの新作、「浅草キッド」を鑑賞。北野武氏が自分の浅草での修業時代を書いた本が原作で劇団ひとり監督・脚本の映画。40年来の「たけし好き」で原作もリアルタイムで読んでいる私にとってはたまらない作品だった。配信開始から3日目で日本でのランキング1位(ちなみに2位~10位はアニメか韓国作品)は嬉しい。
この作品についての立川さんの感想を是非聞いてみたい。ある種の人情モノ的日本映画を生理的に受け付けないところのある立川さんだが、「浅草キッド」のストーリーの骨格は「スター誕生」にも通じるアーティストのrise & fallだから、結構イケるんじゃないかとも思う。そのうちどこかで観る機会があったら是非、感想を教えてください。