WORKS~立川直樹全仕事~

1993年 SIDESTORY 5

立川直樹の原点、そして・・・

m: このインタビューの中で、ぼくとしては立川さんの嗜好性や非常に魅力的だけれども言葉にしにくい立川さんの中のカオスみたいなものを言語化したいというふうに思ってるんです。
t: ぼくよりちょっと年上のプロデューサーに、ぼくの作り出すものの感じは普通の日本の人のものと違うって言われたことがあって。
「立川さんのクリエイションのベースとなってるものって何なんですか?」って聞かれたことがあったんですよ。
(ぼくは)ぽつっと
「死とロマンティシズムですかね」って答えたの(笑)。
で、思い出すと、基本的にそういうものが好きなんだね。
m: ああ・・・それは、少し言語化されましたね。
では、立川さんの発言の中に実にしばしば登場する「デカダン」というフレーズはどうでしょう?デカダンとは、一言で言うと?
t: 退廃・・・今の「死とロマンティシズム」みたいな言い方をすれば「美とエロティシズム」かなぁ。
(たとえば)同じストリッパーでもさ、平松ケイとかってきれいじゃない?
仙葉由季とかも、以前、ほんっと好きだったな。こうなにか漂ってくるものがあって。
m: 『シャングリラ』的な言い方をすると、漂ってくるものしか信用したくないってとこはありますよね。
t: うん、あるある。

この日は銀座のミケ・アムリタで、立川氏の話を聞いた。
ミケ・アムリタは、さまざまな旨い酒と共に、カジュアルな一品料理からきちんとしたコースまでのフード・メニューも充実したお店。
月替わりで壁を飾るアート、気持ちのいいスタッフの対応も、夜をさらに楽しくしてくれる。
立川氏は、古い友人でもあるスタッフのクロード氏を呼び、筍のソテーともやしのぺペロンチーノなるものをオーダーした。
そして、白のキリッとしたワインを、と言い、それに応えて2本のワインをプレゼンテーションするクロード氏に「いいよ、信用してるから。まかせる。」とさらりと言う。
クロード氏は「こっちの方がリーズナブルだと思うんだよね。」と片一方を指し、(そちらをちらっと見て、)うん、それがいい。と立川氏は答える。
伝説の遊び人(というと本人、いつも納得できない顔をするが)立川直樹と、東京の夜の名物男、クロード芹澤のなんでもない会話はえらくかっこいい。
会話や動きに無駄が無い。
妙な気負いや衒いが無い。
もやしのぺペロンチーノは、もやしを少しのひき肉と一緒ににんにくで炒めたもの。
おいしい!筍も、白ワインも、本当においしい。
もやしのぺペロンチーノはなんと500円!
銀座のド真ん中のcoolなレストラン・バーだぜ、ここは・・・。

t: うまいね・・・。最高ですよ。

同志、大島早紀子

m: キリンビールさんの話に戻るんですが、キリンアワードがこの年からキリンコンテンポラリーアワードと言う名前に変わり まして、この年の優秀賞がH・アール・カオスの大島さんなんですね。で、立川さんは大島さんをその当時も今も認めていらっしゃるし、すごく好きなんだな と、いろんなお話の中で感じるんですよ。
t: もうこれははっきり言えるんだけど、大島さんの作るものは今までのキリンアートアワードの数有る作品の中でもぼくの好きなベストスリーに入ってる。
彼女を見た時、そして会って話した時、とにかく、美意識ってのを追究しようっていう同志がいたなって気がすごくしたの。で、やっぱりその、またそれですかって言うかもしれないけど、デカダンですよ。何か、退廃感とエロチシズム。

YOSHIE INABAコレクション

m: 稲葉賀恵さんとの仕事については、この年よりもっと前からコレクションに関わっていらっしゃるわけなんですけど。
t: 賀恵さんのはね、最初は稲越功一さんと村上春樹さんが本を作って、それの展覧会をやる時に、BGMの音楽構成をやってくれって言われたんですよ。
m: この年じゃないですよね。
t: うん。そしたら、そこに賀恵さんが来て、渡辺かをるさん、アートディレクターの。かをるさんもいる時に、稲越さんに賀恵さんを紹介されて。
で、かをるさんが、「立川さん、ファッションショーの音楽やんないの?」って言うから、「ファッションショー、嫌いだから」って言ったんですよ。
そしたら賀恵さんが、あの美しい笑顔を浮かべながら「私も嫌いなのよ」って。そこが上手いとこだと思うんだけど(笑)。「だってエレガントがないものね」って。
「私エレガントなもの作りたいのよ。手伝ってよ」って言われて、何かその一言で、引き寄せられて(音楽を担当するようになった)。
8年ぐらいやってたけど、すごく好きなようにやらせてもらったからおもしろかったですよ。全部ブライアン・フェリーだけでやったり、またある時は全部タンゴにしたり。
タンゴの時は、阿保郁夫(あぼ いくお)さんが持ってた、日本にしか無い音源を拍手を抜いて使って。それぐらい、凝った仕事をしてたんです。
前ページ 次ページ

Page Top▲

  • TOP
  • PROFILE
  • 立川直樹の内省日記
  • TIME WAITS FOR NOR ONE
  • WORKS
  • ARCHIVE
  • ABOUT THIS SITE