立川直樹の内省日記

2010年7月11日(日)

7月7日(水)ジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作※7「ミックマック」の試写。先週は全くスクリーンの前に坐ることができなかったので、とてもうれしい。一般には「アメリ」で有名になったジュネ監督だが、最新作でも20年前に僕を虜にしてしまった「デリカテッセン」のファンタジックでシュールな感覚が全く失われていないのが最高だ。※8コンサート関係のミーティングも実に順調。ちょうどいいスピード感で物事が進んでいる。渋谷の“成ル”での夜の宴会もとても楽しかったが、冷え過ぎの店内にはちょっとまいった。文明の発達は完全に人々から季節に対する感覚を失わせている。

※7 日本語で“イタズラ”の意味がある「ミックマック」に登場するのは、地雷撤去、テロ、武器輸出入からYouTubeまで、現在の我々が直面している問題や技術ばかり。それをダニー・ブーンやドミニク・ピノンをはじめとする芸達者たちが茶目っ気たっぷりに演じているのがとてもいい。これぞメイド・イン・フレンチ・シネマ!といえる快作の公開は9月上旬。映像、音響のトリックの見事さを是非スクリーンの前で体験して欲しい。

※8 9月12日にオーチャードホールで開催される“JET STREAM~MUSIC AROUND THE WORLD”と、11月30日と12月1日の2日間、同じオーチャードホールで開催される“BLESS THE PEOPLE”。両方ともオムニバス形式のコンサートなので、プロデュースとディレクションをする人間にとってはやりがいがある。スタッフもキャストもいい顔ぶれがそろいつつある。


7月8日(木)箱根・彫刻の森美術館で、今年は8月の最終土日に開催が決まった“AUDI MUSIC meets ART”の打合わせ。天気もよく、往き帰りのドライヴも含めて夏の1日を満喫する。夜は“北回帰線”でインターFMのホキ徳田さんの番組の収録。旧友の川幡さんからの依頼でのゲスト出演だったが、ドラマティックで奔放な人生を送っている人との会話というのは理屈抜きで楽しい。亀淵友香さんとも何年ぶりかで出会え、ホキさんと友香さんのデュエットも聞けた。車の中で流れていた音楽を除いては、完全にJAZZな1日。“北回帰線”から“ビーヴィー”へ向かって歩いた六本木の街はいつもと違って見えたのはそのせいかも知れない。丸正とゴトウ花屋のあたりにあった“NIGHT&DAY”の看板はいつまであったのだろう……


7月9日(金)「花と蛇3」を試写で観る。小向美奈子にはいろいろな意味で期待したもののちょっと肩すかしの感。格とキャリアが違うとは言え、前回までの杉本彩のエロティックさは強力だったなと改めて思う。その後はスパイラルガーデンでスイスを拠点に活動する若手写真家、セドリック・ブレナールの展覧会“i Grow”、根津美術館で“いのりのかたち~八十一尊曼荼羅と仏教美術の名品”を見てから、浅草に向かう。自分でも飽きれるくらいの雑食。夜は花やしき裏特設テント劇場で唐ゼミの「蛇姫様」を見たが、最初と最後が蛇がらみというのは何だかおかしい。3時間を超す「蛇姫様」はかなりのおもしろさ。一緒に行った三島クンが「音楽をイマ風にしたら“RENT”になりますよね…」というのは中々の視点だと思ったが、“捕鯨船”で定番の煮込み鯨を食べ、アミューズミュージアムの中にあるBAR“cinq”と“six”をハシゴして、浅草の夜は楽しく盛り上がった。ちょうど浅草寺では“ほおずき市”が開かれていて、ノスタルジアにも酔えた。帰宅は1時半過ぎ。久しぶりに夜遊びをした感じがする。


7月10日(土)低燃費のエコカー人気の陰で、スポーツカーがこの夏、相次ぎ姿を消すと言う。スポーツカーが若者の憧れだった時代はもう完全に過ぎ去ってしまったのか。アナログレコードをカセットテープに録音したくて、DENONのコンポ“otogibako”を購入、まずはトーキング・ヘッズの「リメイン・イン・ライト」をかけてみたが、アナログならでは音の鳴り方が最高、リズムのうねりは第三京浜を飛ばしてよく湘南に出かけていた時代の情景をフラッシュバックさせてくれた。夕方は桐朋学園芸術短期大学ポロニアホールで、“A NIGHT OF THE STAGE CREATE”と題されたトークイベント。白井荘也教授と約1時間、アナログとデジタルの戦いについて話したが、場所が大学で、仕切りが生徒たちということもあり、クリーンファイトに終始したトークバトルになった。インタビューやトークショーはプロレスだと思っている僕としては、おとなしい真面目な観客も含めて食い足りない感じ。帰りの車の中で、ジュリー・ロンドンを聴きながら、世界はどんな風に変わっていくのかとぼんやりと考えてしまった。


7月11日(日)昼間はスピルバーグの1993年の映画「シンドラーのリスト」に196分、夜は参院選の速報に5時間近く……これだけ長くモニターを見続けていたのは何年ぶりのことだろう。そして偶然とは言え、結果的には両極とも言える世界を1日のうちに見てしまった。昨日の夜、見た祇園祭の宵山の夢は何かの予兆なのだろうか……

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