立川直樹の内省日記

2010年3月28日(日)

3月25日(木)雨の中を西伊豆の土肥に向かう。修善寺を越え、出口を右に曲がり、走っていくと、山の景色が日本離れしていることに気づく。とても魅力的な美しい景色だ。以前、土肥の旅館組合の人と話していたことがきっかけでまとまった取材の立ち会いだが、いい意味であまりやることもなく、のんびりとした時間を過ごす。昨日、江國さんからいただいた新刊「真昼なのに昏い部屋」がとてもおもしろく、海を見ながら読書を続ける。朝のテレビでやっていた民主党のいろいろな騒動は、マイケル・ムーア的な領域すら超えて、安物のコメディ映画のようになってきた。この国は一体どうなってしまうんだろう。


3月26日(金)金嬉老死去のニュースと音楽誌“ADLIB”の休刊の小さな記事を朝刊で見る。昨日の夕刊にはビートルズやディラン、ストーンズなどの撮影を手がけ、アルバムのジャケット写真は500枚以上に及んだジム・マーシャルがニューヨーク市内のホテルで死去したという死亡記事が載っていた。本当に時代が急速度で変わっている、いや走り過ぎていく。あと、朝日新聞の朝刊には密猟の歴史を語るゾウの下アゴの白骨の写真が載っていて、これがアート作品のようだったのがとても印象的だった。朝の土肥からのドライヴも音楽のせいもあって時空を超える旅のようだったし、午後DVDで観たマノエル・ド・オリヴェイラの映画「コロンブス 永遠の海」がその気分にさらに拍車をかけた。その後は事務所で打合せ3件。それからLAST GALLERYの“DUNE”の17周年記念展“THE UNDERGROUND SPIRITUAL GAME”のレセプション・パーティーに出かけ、夜は東京ミッドタウンのホールAで鳥居ユキさんのファッションショーを見に出かける。何だか時間の停まった世界。西麻布の“権八”で開かれたパーティーにも顔を出したが、年に2度シーズンになるとショーの仕事をしていた日々がゆっくりとフラッシュバックしてきた。ただ確実に飲食店のレベルはこの10年の間に低下している。店の前の桜だけが妙に空々しく美しかった。


3月27日(土)江國香織さんの「真昼なのに昏い部屋」の続きを読む。朝刊に載っていた広告も実にインパクトがあった。読む時のBGMは何枚かチェックしながら、最終的には中村善郎の「リラテリオ」に落ち着く。音楽のフィット感というのは本当に重要だ。エブリシング・バット・ザ・ガールもよかったが、知性と感性は確実に価値基準になるし、あとは天候も含め、時間というのも重要だ。ライナーノーツの本の次には、懸案の「間違いだらけの音楽遊び」に手をつけるべきだろうなという気持が固まってきた。夜の亀田興毅とポンサクレックのWBC世界フライ級王座統一戦は余り期待していなかったが、それ以下の凡戦。亀田は初めての黒星に終わったが、彼は全くドラマの作れないボクサーだと思う。全てはリングの外で作られた偶像だったことがこの夜はっきりとしてしまった。


3月28日(日)春の番組改変期の中で日曜朝の政治家の予定を変えたと言われる「サンデープロジェクト」が終了した。田原総一朗のキャラは好きではないが、重要かつおもしろい番組だったと思う。自分はキャスターではなく、一貫してディレクターだと思っている、という考え方が番組に1本ピンと筋を通していたことは明白だ。また、ひとつ硬派の番組が終わり、人が表舞台から去る。この後はBSで新番組を始めるということだが、僕の中ではまだBSは表舞台ではない感じがする。そして、文字通り“花冷え”の寒い日曜日だったが、午後はYASUDA ART LINKで山口椿さんのトークイベント、夜はザムザ阿佐谷に月蝕歌劇団の「夢野久作 少女地獄」を見に出かける。偶然にもどこかで、2つの演し物がつながりあっている気がしているのがとてもおもしろく、改めて“好きなテイスト”を実感した日になった。

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