立川直樹の内省日記

2011年2月23日(水)

2月7日(月)“北方領土の日”だということで、家の回りが騒然としている。飯倉の郵便局に寄って京橋の“ルクス・ギャラリー”に向かう時の情景は映画の一場面のようだった。“ルクス・ギャラリー”で開催中の<谷川コレクションによるデニス・ホッパーの軌跡展>はスペースはさほど大きくないものの、内容はかなり充実していて、谷川建司さんが丁寧に説明してくれたのも値打ものだった。午後は事務所でAKB48のコンサートの美術プランの打合せと、細かい作業。夜は神奈川芸術劇場で宮本亜門演出の「金閣寺」。三島由紀夫の名作の舞台化だが、亜門さんの演出ショーとも言える趣きの舞台だった。電車の中でとてもよくできた公演プログラムを読みながら帰宅した後は、チーズをつまみに赤ワインを飲みながらテレビのニュースと、WOWOWで“ビヨンセ・ライヴ・イン・ヴェガス”。テクニックのある女性ミュージシャンを従えたビヨンセのショーは東京ドームでも見たが、本当によくできている。一昨日のレディ・ガガ、昨日のケイティ・ペリーに続く第3弾だったが、クオリティの高さではビヨンセに軍配が上がる。そして夕刊にはギタリスト、ゲイリー・ムーアの死亡記事。6日にスペインのコスタ・デル・ソルのホテルの部屋で死去していたのが見つかったということだが、58歳という年令は若過ぎて意外だった。もう、あの“泣き”のギターは聞けない。ワインの酔いが回る中で、ギターのフレーズが幻のように聞こえてきた。


2月8日(火)テレビの朝ワイドはどこの局も相撲の八百長問題が中心で小向美奈子が覚醒剤で逮捕というニュースをアタマに持ってきている局もある。ここしばらくの間、朝8時からは“スーパーモーニング”にチャンネルを合わせるのが習慣化しているが、朝11時から3つのミーティングをすませ、3時半から見た※95「恋とニュースのつくり方」はそんなテレビの朝ワイドの現場を中心に作られたとてもおもしろい映画だった。原題は「モーニング・グローリー」。主演のレイチェル・マクアダムスは余りなじみのない人だが、キャスター役のハリソン・フォードとダイアン・キートンの対決は最高の見もの。監督が「ノッティングヒルの恋人」を撮ったロジャー・ミッシェルで、脚本が「プラダを着た悪魔」のアライン・ブロッシュ・マッケンナという、いってみれば“当たる映画”作りには定評のある人がタッグを組んだので、おもしろいのは当然だが、軽くて御都合ノリとはいえ、実にうまく出来ている。既成曲の使い方も、何のてらいもなく直球勝負でうまくはまっているし、日本で何故こういう映画が作れないのだろう。夜は三島クンと“ボン・ムッシュ”で食事をしてから、“howl”と“PB”をはしごして5時間の夜遊び。デニーやフクちゃんとの話も楽しかったが、街には本当に人が少ない。みんなどうしているんだろう……

※95 ニューヨークのテレビ局を舞台に展開されるテンポのいいA級コメディ。2月25日公開。(パラマウント・ピクチャーズ・ジャパン)


2月9日(水)三軒茶屋のNOAHスタジオで“HIBARI 7DAYS”の2日目に上演する“Art+Rhythm”のリハーサル。夏木マリさんと盟友・斉藤ノブの2人を中心に作られるパフォーマンスだが、ギタリストの佐橋佳幸クンもゲストで加わってくれ、かつバックを務めるミュージシャンも凄腕ぞろいなので、出てくる音は本当に強力だ。マリさんのよく練り上げたアイデアもおもしろいし、本番でのお客さんの反応も楽しみだ。夜は調布市文化会館たづくりのくすのきホールで、大学の卒業製作の公演“めぐる”を覗く。ピアニストの西村由紀江さんをメインにしたパフォーマンスだったが、はじけるようなものが感じられなかったのが残念。今時なのかなあと思いながら、ジェイミー・ポールの新作※96「メランコリー・ベイビー」を聞きながら帰路につき、家で熱燗と赤ワインを飲む。気分は2軒はしごした感じ。不毛な党首討論が加わったとはいえ、ニュースは全く変り映えしない。

※96 歌姫ジェイミーがジャズ・スタンダードから人気R&Bナンバーまでをソウルフルでブルージーな歌声で綴った最新作。ビージー・アデール・トリオも加わって、音楽が風景を見せてくれる。(EMIミュージック・ジャパン)


2月10日(木)体力・気分的にはちょっと無理して出かけた朝10時からの試写で見た※97「イヴ・サンローラン」が素晴しい映画だった。サンローランの生涯のパートナーだったピエール・ベルジェが語る時代と美、モードの極意。申し分ない仕上がりのドキュメンタリーで、僕は見ながら幾度もうなづき、またベルジェの言葉にはメモしたくなるような名言がいくつもあったが、サンローランの引退宣言の言葉も胸にしみた。そして午後1時から新国立劇場・小劇場で見た「焼肉ドラゴン」が2008年の初演時にその年の主要演劇賞を軒並み獲得したというのも納得の舞台。万博が開催された1970年前後の関西を舞台に、焼肉屋を営む在日コリアン一家と、そこに集う人々を描いた日韓合同公演の再演だが、日韓の俳優・落語家・ミュージシャンのビビン(韓国語で混ぜるの意味)キャストは魅力たっぷりで、演出も音楽も、本当にそこの場所にいるような気にさせてくれる美術セットも文句のつけようがなく、3時間たっぷりと楽しめた。その後はゲンスブール・プロジェクトのミーティングをはさんで、クリント・イーストウッド監督の話題の新作※98「ヒアアフター」。今週は日曜から芝居も映画もよく見ていて、今日も丸7時間、劇場と試写室の椅子の坐っていた計算になるが、マット・デイモン主演の「ヒアアフター」はよく出来ているとはいうもの、結末がアレッと思うくらい拍子抜けする感じだった。その拍子抜け感は村上春樹の「羊たちをめぐる冒険」に通じるもの。ちょっと残念というところだが、残念といえば、直訳とはいえ“来世”という言葉をサブタイトルにつけた方が一般には通じやすいのではないだろうか。映画の後は、青森現代料理の店“ボワ・ヴェール”で食事。シラーズの赤のスパークリングワインと、鹿レバカツやニンニクの薄焼きピザとの相性は抜群で、仔猪のソーセージも中々だった。天気予報では、明日は雪。夜の街はとても静かだった。

※97 個人・財団所有のものも含め10万点以上ある資料から厳選された貴重な映像や写真とピエール・ベルジェの語りで構成されたドキュメンタリー。監督は、フランスで美術造形家、写真家として活躍し、古くからサンローランとベルジェとも親交のあったピエール・トレイン。過去の感傷と現在の緊張の両方を同時に感じさせてくれるコム・アギルの音楽も素晴しい。4月公開。(ファントム・フィルム)

※98 「死後の世界があるかどうか、真実は誰にも分からない。だが、人は誰も与えられた人生を精一杯生きるべきだと、僕は常に信じている」というイーストウッドの言葉通りに映画は出来上がっている。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。優等生のような映画といったらいいだろうか。2月19日公開。(ワーナー・ブラザーズ映画)


2月11日(金)建国記念日、朝から雪が舞っていた。その静けさの中でラヴィ・シャンカールを聴く。スピリチュアルなテイストに加え、不思議な浮遊感。夕方前、打合せに向かう時に見た薄化粧した東宮御所の土手の美しさとそれが合体し、かつ三島由紀夫の世界にもつながっていき、そこを居心地がいいと思っている僕は何もかもがデジタル化され始めた世界との距離を感じる。夜はボクシングのWBC世界ミニマム級タイトルマッチ、オーレドン×井岡一翔の試合を見てからちょっとひと眠りしてロベール・ルパージュの舞台の劇場中継を見る。マリー・ミショー、アンリ・シャッセ、タイ・ウェイ・フォーという3人の俳優が魔法のような空間で時空を超えたドラマを見せてくれた「ブルードラゴン」。真夜中の静けさとぴったりの素晴しい舞台だった。


2月12日(土)天気予報は外れ、雪こそ降らないが、曇のち雨。田原総一郎がホストを務める“激論クロスファイア”を<エジプト反政府デモの真実と余波>のタイトルに魅かれて見てからは、“週刊ニュース新書”“第38回アメリカン・ミュージック・アワード”“報道特集”とテレビ三昧。間に開高健の「王、砕ける」と「飽満の種子」をラヴィ・シャンカールをBGMに読んだ以外はずっとテレビの前に坐っていた。そして夜も“法善寺横丁”のフレーズに魅かれて“出没アド街ック天国”を見てしまったし、10時からは定番の“ニュースキャスター”でビートたけしに笑わせてもらった。でも、ずっとテレビを見ていて思ったのは興味とか欲望というのは年令とともに確実に変化するのだということ。政治はまだしも、音楽については特に顕著で、“アメリカン・ミュージック・アワード”の受賞式とパフォーマンスは、向こう側の世界の出来事のように見えた。眠る前の“耳直し”にはナット・キング・コール。「キサス・キサス・キサス」のベルベットのようなヴォーカルが気持良い夢の世界に連れていってくれた。


2月13日(日)ジャン・コクトーとグレアム・グリーンの文章もうまく引用して阿片吸飲について書かれた開高健の「飽満の種子」のインパクトが強過ぎたせいか、WOWOWで見た「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」や「第9地区」は単なるドタバタのパニック映画にしか見えない。ビリー・ジョエルの“ラストプレイ・アット・シェア・スタジアム”に登場した3人のゲストのトリだったポール・マッカートニーのパフォーマンスも妙に軽い印象。最初のゲスト、トニーベネットがビリーと歌った「ニューヨーク・ステイツ・オブ・マインド」の素晴しさは圧巻だったが、僕が乗っている船は今、完全に20世紀に向けて航行しているのかも知れない。


2月14日(月)朝一番で※99“KIRIN LAGER CLUB”のミーティング。3月8、9日にはいよいよ200回記念のイベント“祝宴”が開催されるが、本当によく続いてきた、続けてきたと思う。始まりは1989年。これはもうライフワークに近くなっている気がする。午後は1時からカズオ・イシグロ原作の映画※100「わたしを離さないで」の試写。とてもよく出来た映画だったが、重く、かつ暗い。嫌な気分ではないが、すっかり打ちのめされ、夕方まで続いたが、銀座の“ARBACE”で6時半から4時間以上続いた小野家の人々との楽しいディナーで気分はすっかり回復した。そして外に出ると、銀座は完全に雪国の世界。バレンタイン・デイの夜にこれはまるで映画のようだと思いながら11時半過ぎに家に戻り、WOWOWで第53回グラミー賞受賞式をつけたら、ボブ・ディランが「マギーズ・ファーム」を歌っていた。その存在感は超強力。その後は1時まで受賞とパフォーマンスが続いたが、5冠に輝いたレディ・アンテベラムが歌ったテディ・ペンダーグラスの名曲「イフ・ユー・ドント・ノウ・ミー・バイ・ナウ」は最優秀楽曲よりもいい曲だった。やっぱり昔の歌に反応してしまうのかとも思いながら、時代の流れをしみじみ感じる。外は雪。ワインの酔いが気持よく身体に回っている。

※99 3月8日は“JAZZ NIGHT”、3月9日は“POP NIGHT”と銘打って今までLAGER CLUBのステージに立ってくれた日本人ミュージシャンが大結集。2日間限りの夢のセッションが渋谷クラブクアトロで繰り広げられる。(プランクトン)

※100 痛切な運命を背負いながら生きる3人の若者を演じるのはキャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ。映画史上かつて描かれたことのない<秘密>を描いたのは、マーク・ロマネク監督。レイチェル・ポートマンの美しい音楽も切なく映画をひきしめている。3月26日公開。(20世紀フォックス映画)


2月15日(火)昨夜の雪は嘘のようにあがった。<世界を変えた書物>展の打合せのために昼には金沢に到着したが、こちらは町のあちこちに除雪した雪の山が残っている。数センチの雪でパニック状態になってしまう東京は何だかおかしい感じがする。昼食は“利久”で春らしい懐石弁当。金沢21世紀美術館の下見も打合せもすこぶる順調で、おもしろい展覧会が作れそうな気がする。カフェから見える雪の残る庭と、ほどよい音楽で流れるジャズがゆったりとした午後の気分を作り出してくれたのもうれしかった。そして夜は大好きな“太平寿し”で小宴。その後は片町のクラブをはしごし、最後はワイン・バー“シャトーシノン”でしめる。金沢は京都と同じで絶対に性が合う町だと改めて思いながら、幸福な眠りについた。


2月16日(水)ほぼ正午に東京に戻る。幸福な眠りではあったが、疲れ気味。午後も事務所で2つ打合せをし、夕方からは世田谷パブリックシアターで夏木マリさん、斉藤ノブさんと土曜日に迫った“HIBARI 7DAYS~ART+RHYTHM”の打合せ。これもスタッフが多く、寄り合い所帯なので、いつものようには進まず、疲労が加算される。夜は高樹町の“コントワール・ミサゴ”でトライアングル・プロジェクトの佐藤さんのセッティングで映画の企画の話をしながらのディナーというスケジュールだったが、ここでようやく解放感を味わう。食後は“PB”に移動。うまく気持が軌道にのり、疲労感は身体だけになった。でも、これ、誰かに飲みすぎだよと言われたら、もううなだれるしかない。……


2月17日(木)中東で、政治改革を求める民衆デモがやまない。エジプトに続いてはバーレン、リビア…。なのに日本では小沢一郎系の議員が会派離脱届を出すという金魚鉢の中のケンカ…相撲の八百長問題騒動の進展も曖昧だし、本当に国が壊れていく。“Va-tout”でのランチミーティングを終えてから出かけた“3331 ARTS CHIYODA”で開催されていたアート・フェア“TOKYO FRONTLINE”も何だか元気がなかった。30年来のつきあいになるピエール・バルーが渋谷にオープンしたライヴハウス“SARAVAH東京”でのグランドオープニングパーティーはTOKYOの中のほのぼのとした村社会の集いという感じ。その後は“ROCK AROUND THE CLOCK”のBAR“OSHIDORI”で美空ひばりの歌を聞きながら加藤和也さんを囲んで明日から始まるイベント“HIBARI 7DAYS”のキックオフの気分で飲み会と相成ったが、デッド・オア・アライヴやピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ピストルズの名前がバンバン飛び交う盛り上がりぶりで、アッという間に2時間が過ぎた。楽しいお酒は、確実に精神が解放される。昼の牛ロースステーキがそのまま血肉になったが、疲労感もきれいに消えている。


2月18日(金)朝の9時半過ぎから約3時間近く打合せ。事務所には20人を超す人が集まり、AKB48のプロジェクトは美術セットも撮影も含めて何だか凄いことになりつつある。午後は2時過ぎに世田谷パブリックシアター入り。“HIBARI 7DAYS”の初日のリハーサルをモニターで見ながら過ぎていく時間は楽屋のケタリングやスタッフの動きも含めて2~30年間ほとんど変わっていない。本当に長くエンタテインメントの世界でも暮らしているなあと思った。その不思議な時空を超えた感覚。それは7時に幕が開いたコンサートの間にも幾度となく感じたが、美空ひばりの歌の数々が子供の頃まで僕を運んでいってしまった。音楽の記憶というのは実に濃い。そして団体行動からくる疲労を少し感じながら帰宅し、カエターノ・ヴェローゾの歌をBGMにビールと日本酒。朝刊に載っていた<米書店消滅の危機~チェーン2位が倒産>という見出しの記事がノスタルジーをかきたてるカエターノの歌と重なりあっていった。日本の書店も苦境が続き、10年で約3割減ったそうだ。“現物至上主義者”の僕としてはひどく悲しい気持になる。


2月19日(土)“HIBARI 7DAYS”の2日目“Art+Rhythm”のリハーサルのために12時前に世田谷パブリックシアターに入る。5時30分の開場ぎりぎりまで朗読と映像のシンクロのチェックや、バンドのリハーサルなどが続いた。そして1時間半弱のパフォーマンスはほぼ完璧。夏木マリさんの美空ひばりの内面まで掘り下げたアプローチと、盟友・斉藤ノブが組んでくれたスペシャル・ユニットに佐橋佳幸クンが入ったバンドが奏でるサウンドも申し分なく“Art+Rhythm”というタイトル通りのものが出来上がった。お客さんの反応も抜群で、関係者からも絶賛の言葉。終演後はミュージシャンたちと楽屋で打上げをした後は、加藤和也さんと“VOX Asshnka”へ。絶品のナッツ・コンピレーションをはじめ、カクテルや日本酒、白海老の塩辛や餃子…とミクスチャーの極致で夜を思いきり楽しむ。気がつくと、もう12時を回っていた。


2月20日(日)体調最悪。昨夜のライヴが無事終了して緊張の糸が切れたのと風邪の症状が合体して、咳は出るし、気力もない、そんな中で渋谷まで出かけ、オーチャードホールでマリア・パヘス舞踊団の新作「MIRADA」を見たが、風邪薬の影響で少しぼんやりしていたとはいうものの完全に夢幻の世界で遊ばせてくれた。完璧なテクニックと練り上げられたコンセプト。2日続きでいいパフォーマンスが見られたことになるが、帰りはポスターハリスギャラリーで開催中の<谷敦志個展~男のポートレート~>を覗き、谷さんや展覧会をプロデュースした三島クンたちと歓談する。楽しい時間だったが、体調はやはり芳しくなく、イベントの現場ほどではないにせよ、小さな団体行動的なノリに疲れを感じ、早々に失礼する。帰宅後は軽く食事をし、8時過ぎにはベッドに逃避する。


2月21日(月)久しぶりに10時間近く眠った。でも体調は余り芳しくない。1時からPARCOでタカハシカオリのプロジェクトの打合せをし、3時30分からは松竹で※101「マーラー 君に捧げるアダージョ」の試写を見ただけで帰宅し、夜はWOWOWでボクシング観戦。WBC・WBO世界バンタム級チャンピオンのメキシコの英雄フェルナンド・モンティエルに“フィリピーノ・フラッシュ”の異名をとるノニト・ドネアが挑戦する試合で、2ラウンドでドネアが鮮かなKO勝利を飾ったが、とてもいい試合でまずまずの気晴らしになった。ボクシングの試合と混迷する政治情況とはまさに対称をなす世界だ。

※101 グスタフ・マーラーの生誕150年・没後100年の記念作品。「バグダッド・カフェ」で世界中を熱狂させたパーシー・アドロン監督の最新作で、息子フェリックスとともに、天才作曲家マーラーと世紀末ウイーンのミューズ、アルマの愛の史実を美しい映像と音楽で描き上げている。ゴールデンウィーク公開。(セテラ・インターナショナル)


2月22日(火)体調は少しはよくなっているが、まだ集中力は戻らない。朝のテレビはどこも“パンダ来日騒動”一色で、一体この国はどうなっているんだと思ってしまったが、“とくダネ!”で小倉さんが「リビアの次はパンダですか」と軽いアクションつきで苦笑いしていたのが唯一の救いか…。そして1時からのミーティングが相手の体調が思わしくないので1日延期となったので、早目に見たいと思っていたダーレン・アロノフスキー監督の話題の新作※102「ブラック・スワン」の試写に出かけたが、これが作品賞に監督賞、主演女優賞、撮影賞、編集賞と第83回アカデミー賞主要5部門にノミネートされているのも納得できる強力な映画で、気力に喝を入れられ、体調も上向いていった。その後はもう1本、これもアカデミー賞6部門7ノミネートと話題の※103「ザ・ファイター」の試写。バレエ界の舞台にした美と狂気がせめぎ合う映像世界に翻弄された後は、ボクシング界を舞台にした感動の物語を楽しんだが、申し分ない2本立てだった。夜は<HIBARI 7DAYS>の第4夜“Pop'n'Roll!ひばりちゃん!”を見てから、久々に“FLAT”で里中氏と歓談。クロスビー・スティルス&ナッシュがいい感じで流れ、体調もほぼ戻り、気分はかなり回復した。

※102 チャイコフスキーの有名な「白鳥の湖」をモチーフに作られた、想像を絶する衝撃的な映画。ナタリー・ポートマン演じるニナの心の闇を見事に映画化したアロノフスキー監督の手腕に心から拍手を贈りたい。5月13日公開。(20世紀フォックス映画)

※103 史上最もエキサイティングな試合のひとつに数えられる伝説の対戦と、そこへ至るまでの兄弟の葛藤と絆を描いた映画。実在のプロボクサー、ミッキー・ウォードを演じるのはマーク・ウォールバーグ。兄のディッキーを演じるのはクリスチャン・ベール。大幅に減量し、髪を抜き、歯並びを変えた感動的なまでの怪演は既にゴールデン・グローブ賞を始め助演男優賞を総ナメにし、アカデミー賞最有力の呼び声も高い。3月26日公開。(GAGA)


2月23日(水)ニュースはニュージランドの地震がメイン。リビアはどうなってしまうんだろうと思いながら、昼前にポカスカジャンの大久保クンとワハハ本舗の平間さんと雷門の前で待ち合わせてから、浅草まねきねこ館で虎姫一座による<エノケン、笠置のヒットソングレヴュー>を見る。企画演出はアミューズの創設者である大里洋吉さん。中々よく出来たショーで、浅草という場所と、昼間の1時台に生ビールを飲みながらの昭和歌謡というのは異次元トリップそのものだったが、レビューの後は二天門の横にあるアミューズミュージアムで田中忠三郎のコレクションによる<LOVE!Handmade~手しごと刺繍展~>を見て、実にのんびりとした午後を過ごした。その後は帝国ホテルのランデブー・ラウンジで4月の神戸のコンサートの打合せをしてから、アンソニー・ホプキンス主演の※104「ザ・ライト[エクソシストの真実]」の試写。昼の昭和歌謡との振り幅は実に大きく、昨日の映画の2本立てから続けて考えると、恐ろしいくらいのトリップ感がある。でも…だからおもしろい。神学生マイケルの気分をひきづりながら帰宅してテレビのニュースをつけると、映し出されたのは朝と同じクライストチャーチの壮絶な情景。世界が確実にねじれ始めている。

※104 バチカン公認の正式な職業であるエクソシストの世界をリアルに描き出した映画。アンソニー・ホプキンスはいつも通りに怪優かつ名優ぶりを発揮しているが、スウェーデン人監督のミカエル・ハフストロームの演出が冴えている。アレックス・ヘッフェスの音楽もいいし、撮影も含めて知的な仕上がりが魅力。3月19日公開。(ワーナー・ブラザーズ映画)

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