立川直樹の内省日記

2010年10月11日(月)

10月7日(木)パントマイムと演劇をダンスの中に融合させる振付家の小野寺修二が演出した「異邦人」を三軒茶屋のシアタートラムで見る。初日なのに素晴しく完成度が高く、夏にPARCO劇場で上演された「空白に落ちた男」のプログラムにも書いたが、“小さな巨人”という形容がぴったりの舞台だった。シアタートラムに行く前にポスターハリスギャラリーで見た<ねこぢるyの世界2010>も中々のもの。三島クンもすっかりアート・プロデューサーになったと感心させられたが、ねこぢるyこと山野一氏とも話が出来、僕にとっては申し分のない2本立てになった。ポスターハリスに向かいながら聴いたエルヴィスと、シアタートラムからの帰りに聴いたコルトレーンも気分と情景にぴったりとシンクロ。夜のテレビのニュース番組の後に見た<東京JAZZ2010>も気分をなごませてくれた。週末にはカミュの「異邦人」をそれこそ何十年ぶりかで読んでみようという欲求……デジタル・リマスターで発売されたジョン・レノンの名盤も聴こうと思っているから、また時間の迷子になってしまいそうだ。


10月8日(金)ノーベル平和賞を中国の民主化運動を推めている作家・劉暁波が受賞した。そのことで中国がまたイチャモンをつけている。何て国なんだろうと思う。そして、昨日の夕刊に載っていた“ニューズウィーク”の経営権売却額がわずか1ドルだったという記事。政治・経済……全ての面で世界は本当におかしなことになってしまっている。だからなおのこと、ジョン・レノンの歌が心にしみたのかも知れない。ジョンの遺作となった名盤「ダブル・ファンタジー」の新たなミックスと曲と歌声がより鮮明に蘇えるストリップド・ダウン・ヴァージョンが加えられた2枚組CDの申し分ない素晴しさ。ポール・デュ・ノイヤーの書いたライナーノーツも読みごたえがあり、アルバムが存在価値のあった時代の良さを思い出した。この三連休は間違いなく音楽漬け…。残念ながらカミュの「異邦人」は何故か本棚になかったが、ケルアックの「荒涼天使たち」上・下巻を読み終えることはできそうだ。


10月9日(土)雨の1日。デペッシュ・モードのCDを聞きながら、何年か前の雑誌を整理していると、完全に時間の感覚が消失する。“ソトコト”の細野晴臣さんの連載“SENSE OF WANDER”がどこか啓示的な感じもするおもしろさ。雑誌が雑誌として存在感があった時代が何故かとても懐しい。


10月10日(日)昨日に続いて雨の1日。雑誌の整理をし、時間旅行を楽しむ。デペッシュ・モードからニュー・オーダー、イレイジャー……偶然だが、エレフトロポップがその感覚とぴったりとあう。細野さんの連載に加えて、寺崎央さんの連載“アルツハイマン年代記”や40年を越すつきあいになる森永博志の独特なビート感のある文章がとてもいい。夜はマイルスを聞きながら、ケルアックの「荒涼天使たち」。こんなに自由を感じているのは何十年ぶりのことかも知れない。


10月11日(月)久しぶりの快晴。前日に続いて雑誌とCDの整理。その異次元トリップと北朝鮮の軍事パレードの映像が妙な感じでシンクロする。ふとフラッシュバックしてくる北朝鮮旅行の記憶。ケルアックの「荒涼天使たち」とともに読み終えたジョージ・マーティンの「耳こそはすべて」は1980年刊行の本だったし、本の最後はデジタル・レコーディングの訪れの話で終わっていた。この30年の時の流れ、システムの変化は恐ろしいほどだ。いや、30年はおろか、今や3年で世の中の様相も価値観も一変してしまう。明日からの社会復帰で、どれくらいギアとスピードをUPしなければならないのだろうか。

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