立川直樹の内省日記

2010年8月26日(木)

8月23日(月)2日間たっぷりと休養。トット・テイラーのCDを7枚連続で聴き、猛暑の高速道路を走る車の中で流れるビリー・アイドルの歌と弾けるようなサウンドに夏はロックン・ロールが似合うと実感する。そして朝刊にはHMV渋谷閉店の記事。インターネットの音楽配信がCDの売り上げを落ちこませたことが一番の原因という記事を読むと、この週末に僕がしていたことは10年後には博物館で見られるようなエピソードになってしまうのだろうかと思ってしまった。午前中、事務所で古い資料や雑誌などの整理をしている時も時代の急激な移り変わりを肌で感じたし、本当に世紀の変わり目だ。そして、午後には「黒いスイス」という、かなり衝撃的な内容の本を読みながら大阪に向かう。「東京地下要塞」同様、隠された事実が暴かれるノリの本はそれなりの魅力がある。大阪ではホテルにチェックインした後、里中氏と大丸の中にある“サロン・ド・テ・ヴォーリズ”で、ヴォーリズの作った快適な空間の中でくつろぎ、7時45分から周防町の“もめん”で松井クンがセットした会食。カウンター9席だけの店で年内の夜2回転は全て予約で埋まっているということだが、その自然体のおいしい“料理”には人気も納得できた。御主人の人柄とノリも大阪ならではの魅力で、食事とお酒と一緒に心から楽しめ、食事の後は“nadja”から“club XYST”“GALERIE”をはしご、久しぶりに大阪の夜を遊び尽くした。“ヴォーリズ”から“もめん”に向かう途中で、どんなふうになったんだろうと思って見に行ったキリンプラザ大阪の跡に建っていたのは、どこにでもあるような派手な商業ビル。ここでも時の流れを痛感し、いくつかの歌が頭に浮かんでは消えていった。“nadja”ではいつもよりもずっとノスタルジックな詩の歌ばかり聞いたのは、そんな1日だったからかも知れない。


8月24日(火)朝の4時近くまで飲んで倒れ込むように寝て、9時頃に起き、それから新幹線に飛びのって東京に戻る。午後にはJET STREAMのコンサートと“ひばり10days”のイベントの打合せをして、夜は8時から“ライステラス”で電子書籍版“MUSIC LIFE”創刊号のための“クラブ・シャングリラ”対談。佐藤さんと田中さん、編集長と編集者が“シャングリラ”のファンであったことから実現したものだったが、盟友・森永博志とのセッションは何か特別なノリがある。対談終了後も電子書籍の話を中心に盛り上がり、“AMRTA”に森永クンが預けてある拙著「怪傑ビートルズの伝説」を見に出かけ、その後は2人でAsshがオープンした“VOX・ASHUNKA”に流れて、ナッツ・コンピレーションを飲んだ。いつもながら絶品!その次に飲んだウォッカトニックも夏の夜にぴったりの味で、知り合いも居合わせ、大いに盛り上がったが、2時近くに帰宅した時は、さすがに2日間の飲み疲れが出て、思考能力はほとんどなくなっていた。


8月25日(水)10時からのAUDIでの打合せの前に「新説・東京地下要塞」を読み終える。読み始めは相当おもしろかったが、「黒いスイス」同様、途中から週刊誌を読んでいるような感じになってしまうのは、この手の本の限界か…。ポール・オースターの「幻影の書」に戻った時に自分の好み、趣味というものを本当に強く感じた。ヘクター・マンの話が素晴しくイマジネイティブだ。昼は“L'OSTERIA”で会食。テイストの合う人達との食事は楽しい。その後は気になっていた※25「隠された日記 母たち、娘たち」の試写を見てから、松屋銀座で<アール・ヌーヴォーのポスター芸術展>、王子ホールでア・フィレッタ来日公演を見てから、赤坂の“サエラ”で秋元康さんと会食。食から映画、音楽…と話が弾み、時間はあっという間に過ぎていった。おいしい食べ物と、感覚が一致する楽しい会話……今週は月曜からずっと盛り上がりっ放しだ。実にうれしい。

※25 フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、「レディ・チャタレー」のマリナ・ハンズ、「潜水服は蝶の夢を見る」のマリ=ジョゼ・クローズという、豪華フランス女優陣たちと、2002年カンヌ国際映画祭で長編デビュー作「海のほとり」がカメラドールを受賞した若手女性監督ジェリー・ロペス=クルヴァル監督が作り上げた愛と自由への物語。フランスの片田舎にある海辺の町で驚きの物語が独特のタッチで描かれている。貫禄たっぷりのドヌーヴにはある種の凄味も漂っている。10月公開。(アルシネテラン)


8月26日(木)午後2時から国際フォーラム・ホールCで「イン・ザ・ハイツ」を見る。2008年に開幕、トニー賞を4部門受賞し、現在もブロードウェイで上演中のミュージカル。ラテン色が濃い作品で、ストーリー展開も歌も踊りも申し分ない。このレベルの高さはさすがアメリカ・ツアー・カンパニーだなと納得で、ことこの分野に限っては日米格差は中々埋まりそうにない。この観劇をはさんで、午前中は映画「NOWHERE BOY」関係の打合せ。夜はホテルオークラのオーキッド・バーで、坂本冬美さんと11月に予定されているコンサートのための顔合わせ。帰宅後はテレビで菅首相と小沢前幹事長が全面対決というニュースを見るが、何やってんだろうという思いとともに、果たして結果はどうなるんだろうという野次馬根性も頭をもたげる。大昔のプロレス団体の内粉劇みたいな感じが妙におかしい。

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