TIME WAITS FOR NOR ONE~立川直樹同世代トーク~

第9回 後編

映画的な・・・日々

M: で、何かだいぶいい季節になってきたんで、ちょっと街ネタというか、こういうとこ、楽しいよ的な話を少し。今の季節のね。
T: キャメは車乗らないからわかんないだろうけど、今はもう2CVでの夜のドライブには最高だよね。
M: どの辺を走るんですか。
T: やっぱり首都高からあの辺ぐるーっと周って、駒形橋の辺りで降りて浅草辺りとかもいいし、今日の朝は東京ビッグサイトに行ってたんだけど、お台場をガーッと行くと、なんか香港みたいなんだよね。
M: ほぉー。
T: この頃ぼく、なんか映画的な脳細胞になってるらしくて、いろんな記憶と自分の中で考えてることとかが合わさって、なんかニューヨークにいるみたいになったり、パリにいるみたいになったり、デジャヴみたいに自分の中でトリップしちゃってるんだよね。
仕事もなんか、ヘビーになってても、「あ、なんかこれって『ウォール街』みたいだな」とか、「これってなんか『虚栄のかがり火』みたいだな」とかって、い ろんなもんとダブって、自分がマイケル・ダグラスになっちゃったり、デニス・ホッパーになっちゃったりするみたいにして・・・。
だから、全然疲れてないでしょ、この頃?
M: うん。
T: 夜遅くでも朝早くても、なんでも平気なんだよね。新しいモードに入ってるのかもしれない。
M: ますます元気ですもんね、最近。飲んだり食べたりは相変わらず西麻布近辺が多いんですか?
T: うん、そうかな・・・。  
あ、そういえばね、昨日たまたま招待されて、浅草の一松っていう料亭に行ったんだよ。で、一人残ってる女の幇間っていうのを呼んでくれて、悠玄亭玉輔の弟子で悠玄亭玉っておばちゃんなんだけど。
M: へぇー。
T: で、やっぱり三味線すごく上手くて、話もすごい面白くて、なんかこう、3人で座敷にいて、芸者もいないんだけど、なんかちょっと気が利いた仲居がニコニコ笑っていて・・・。
そういうところで酒飲みながら、「秋は和モノだな」と思った。和モノってのは和食じゃなくて、なんかああいうちょっとした、和の風情。
M: なるほど。
T: それで昨日たまたま話したんだけど、津軽だったら津軽三味線って若い後継者が出てきてるじゃん? 沖縄は三線だなんだって結構やってるし。やっぱり東京も江戸前の三味線芸を若いやつらがやってくれたらいいなって話になってさ。
「さのさ」とかさ女の子が着物着て、たとえ拙くてもやっててくれると、そういうところ(が)あったら行きたいと思わない?
M: いいですね。でも確かにないですね。
T: 津軽三味線なんか青森(に)行くと、三味線喫茶みたいのあるわけじゃん。三味線喫茶って変だけど。
M: 津軽三味線飲み屋みたいなのは、東京にもありますよね。
T: うん。江戸何とかものってないじゃない?。あ、でもね、昨日聞いてすごくいいなと思ったのは、そこは茶寮一松っていうぐらいだから夜は飯を食う、 基本的には接待系のとこなの。で、おかみと話してたら昼間は8,000円で、ちゃんと江戸独楽とか、玉さんが出て、メシ付で8,000円なんだよ。今度行 こうよ。12時から3時、いいと思わない?
M: いいかもしれない・・・。
T: 今度聞いとくから。
あと最近、流行りものと流行りものじゃないものっていうことについて改めて考えたりすることがあって・・・。
たとえば、今日も車の中で聴いてたんだけど、グロリア・エステファンの新作っていうのが、すごくいいんだよ。でも多分、全然話題になんないんだろうな。
良くても変わんないものっていうのはさ、メディアは書かないんだよね
M: あのグロリア・エステファン?
T: そう、全く、あのグロリア・エステファンなの。ちょっとかわいい感じでミディアムなラテンの軽ーいグルーブのやつってあるじゃん。あんなレコードなんだよ。派手なところとか目新しいところっていうのはなくって・・・。
でも、そういう表面にはなかなか出てこないんだけど良いものっていうのにどういうふうにたどり着けるか、探せるかっていうのは、もしかしたら店とかそういうこと全てにも言えるんだけど、結構、重要なことなんじゃないかっていう気がすごいしてるの。
M: なるほどねぇ。

T: 仕事も、なんかこう、万博とかの集団指導体制的な、今までと違う枠組みの仕事をしばらくしてみて、それは確かに時間も取られるんだけど、それはそ れなりの発見はあるわけ。それで、このルールとかいろんなしばりがある中で、まああと1年半ぐらい(万博の仕事が終わるまでは)あるから、自分の中の問題 としては、その反動で何ができるのかっていうのもすごく面白いと思ってるの
M: へーえ。なんか、ひたすら大変なのかと思ってた・・・
T: ぼくは意外と、まあ自分で言うのもなんだけどバランスのいい人間で、意味も無くエゴイスティックにふるまうよりは、ここは皆でバランスとってやる ことでうまくいくんだったら、いわば、そういう野球のチームの中で、「何番、立川」って言われたらそういう風に仕事できるんだよね。1対1の格闘技みたい (な仕事をする)のも好きだけど、それを野球というルールの中でやるつもりはないのね。
万博のプロジェクトって、会議の時間もしっかり決まってて、夜遅く急にちょっと出て来いっていうのも、まあたまにはあるけれどもそんなになくて、他の仕事に比べると非常にシステマティックに進んでいくプロジェクトなわけ。
前にも(そういう種類の仕事に携わるのは)半年くらいの経験はあったけど、準備期間から含めるともう2年も超えてやってると、そういう仕事の仕方っていうのもある意味でなんか新鮮な気もちょっとしてきてさ。
M: ふーん。
T: さっき言った、現実を映画的に捉えるやり方なんだよね。そういう風にして自分の中で(現実に起きる)1つずつのことをすごく映画っぽく解読するようになってきてるんだと思う。
だから格闘技でも野球でも、映画のワン・シーンとして、自然に振舞えるんじゃないかな。
M: ふーん。でも、今後どんどん増えていくんじゃないですか、そういう形式の、ま、お役所っぽいっていうか、いろんな堅い人と一緒にやる機会は。
T: だから、そういう人と一緒にやるのってぼくはすごく不向きなのかなと思ったら、意外と大丈夫なんじゃないかと(笑)、最近は思うね。だから今度、 キャメロンにも一緒に行ってもらうけど、諏訪(のプロジェクト)なんかも、昨日、山崎さんって会頭も一緒だったんだけど彼もすごく楽しそうにしてくれて て、これは市役所の人とか出てきても全然平気だなっていう・・・。
M: ほぉ~。じゃあまぁ、それはそれでありかなっていうことですか
T: うん・・・人だね、仕事は。やっぱりね。

LIVE SHANGRILA SHABECREAM!

M: 今度、レッドシューズでやる、シャベクリーム。
T: うん。
M: これはどんな会なんですか?
T: それはね、もともと前に森永とクラブシャングリラをやってた時から、ライブをやりたいっていうのはお互いにあったのね。これはまぁ、今だから話す けど、1回、MXテレビってあるでしょ?あそこに「クラブ シャングリラ」を大好きなディレクターがいて、「テレビ シャングリラ」っていう企画を、やり たいって言ってたことがあったの。でも、あれってどう考えてもテレビじゃリスキーすぎてできない。それに、映像とかそういうの、準備するのとかたいへん じゃない? 
で、次に「ラジオ シャングリラ」っていう企画が出て、これは実際J-WAVEでデモテープまで録ったの。これはかなり面白くてあれだったんだけど、スポンサーの関係でなくなって。あと、前にニッポン放送でぼくが番組をやってたじゃない? 野球のない季節に。
M: はい。
T: その時にも「ラジオ シャングリラ」をやるっていう企画もあったんだけど、ラジオで週一であれをやるとなると、森永とぼくのスケジュール合わすが 大変なのと、あと、あの会話につなげて音楽をかけようとすると、やっぱりバラエティ・ショーみたいなことしかないんじゃないかと思って、それはやめたの。
でも、(「クラブ シャングリラ」は)「エスクワイア」、「おとなぴあ」ってやって、ぼくら、いつも言うけどサイモンとガーファンクルみたいなもんだから、そろそろバンド活動もいいかって。ソロはソロでやってるけど。森永もそう思ってて。
で、雑誌も何誌か向こうから話があったとこもあるし、模索もしたんだけど、まあそのまんまになってて、そしたらフクちゃんがやっぱりもうやりたくてしょう がなくて、そういう時ってなんかほんとにバンドっぽいんだよ。フクちゃんがサイモンとガーファンクル、大好きで、自分もそこに入ってやるってことで、まあ 森永にも焚きつけ、ぼくにも、「ぼくがやるからやろうよやろうよ」って。
それで今度、サイモンとガーファンクルプラス1みたいなバンドができることになったわけ。で、ぼくらがしゃべって、フクちゃんがDJで曲をかけて、「お い、おまえ、なんでこんな曲かけるんだよ!」って、ぼくと森永に罵倒されるみたいのをやりたい、と(笑)。だからそういうふうに考えたら(3人のユニット で)、クリームみたいなもんだな、と。で、「しゃべってクリームだから、シャベクリームってどう?」ってぼくが言って、フクちゃんも「それ最高! それ使おうよ」って。
M: あ、そうなんだ(笑)。
T: そう、クリームなんだよ、クリーム。ぼくはトリオって好きだから。昔からクリームはすごい好きだったし、ジミ・ヘンドリックス&エクスペリエンスも好きだったし、ポリスも好きだったし。
M: 最近、トーク・ショーづいてません?
T: うん。そういうもんってすごく(企画が企画を)呼ぶからね。
まあその、ステージ復帰みたいなことでいくと、いきなりIDEEから連絡があって、かまやつ(ひろし)さんが立川さんと(トーク・ショーを)やりたいって言ってるって言われて、ぼくもムッシュとだったらやりたい、って言って(その話を)受けて10月8日にやるじゃない? それで27日に高畑さんとやって、29日に森永・フクちゃんだから、すごいよね。ライブ活動としては。
M: ねえ。ライブ月間だ。
T: だからなんかね、結構、やる気になってきちゃったんだよね。面白いから。
今やってるこれなんかも客はいないけど、レコーディングみたいなもんじゃない? で、デュオだから、ぼくがピアノ弾いておまえはベースでグーッとくるからこう行くみたいな感じで、前回なんかはそれが、あとふたり、サポート・メンバーがいたりしてさ。
M: ふーん。でも多分、森永さんと話しても、ライブでやる感じと文章にまとまった感じとはだいぶ違うんじゃないですか?
T: 違うよね。ただそれはライブでやるか文にするかの違いっていう表面的な問題じゃなくて、えーと結局、ぼくと森永って、周りから見るとすごくそのア ウトローっぽい部分もあるし、アングラっぽいところもあるんだけど、でも本当にアングラだったとしたら、森永もぼくも、35年間、ちゃんとメジャー・シー ンで本(を)出したりしてないと思うんだよね。ぼくらはアングラに見えてるけれど、実は意外と商業的なんだよ。だから、ライブでやるとお客をちゃんと意識 してる。ふたり(だけ)でやって編集者が聴いてるのとは全然違う。妙なサービス精神っていうのがあるから。
M: ショーとして成立させちゃうでしょうね。お互いに。
T: そうそう。成立させようと思っちゃうんだよね。そこがだから、ライブでやるのと文章にするのとは、お客がいるかいないかでずいぶん違う。ライブは とりあえずしゃべってなきゃ、聞かせなきゃいけないけど、(お客さんがいなくて)文章にする時は、レコーディングだから後から編集できる。そういう違いは あるよね。
M: 両方面白いんだろうなぁと思う。ライブじゃないほうは後で作りこんでく楽しさがあるし。
T: 仕事なんかもそういうのあるよね。今、ぼくなんかいっぱいプロジェクトが同時進行してるじゃない? そうすると、打合せに行く前にファイルをちゃんと作ってミーティングに臨む仕事もあるし、3~4枚、今までの打合せの確認メモみたいなもんだけ持ってつ るっと行ったほうが、かえってフレキシブルにアイディアが出る仕事もあるし。それはなんか、ケース・バイ・ケースだと思うな。
そいでさ・・・。
移動しながら話そうか?
M: はい。

再び立川さんの2CVに乗り込み、話を続ける。
2CVの心地よいエンジン音をバックに・・・。

変わっていくこと、そして変わらないこと

M: いい天気ですね。
T: いい天気だね。
M: 最近は雑誌を切り抜いておいしそうなオムライスを食べに行ったりとかはしてないんですか? 新しいお店の開拓みたいなのは。
T: 時間がホントにないんだよね。(見る)映画の本数も、いまだかつてないくらい激減してるくらいで。
M: ああ、そうですか。
T: うん。なんかすごく時間がないんだよね。
M: ふーん。それは仕事?
T: 仕事。仕事の、否応無しに入ってくる打合せと、まぁ、何か作るにしろなんにしろ、やんなきゃなんないこととかっていうのを全部出してくと、ああ、こんな時間ないのか・・・っていうぐらい、時間ないんだよね。
M: それはもう、今までにないくらい?
T: 今までにないくらい・・・ないね(笑)。なんか前は女の子と遊びに行ってたんだよなぁとか、ふと思うんだけど(笑)、なんかもしかしたらその、行く気分にもなんないのかもしれないな。
だからその、片付けなきゃなんないものがすごく溜まってることも事実なんだよ。
家がアンコールワット状態になってて、ヒラ積みになってる資料とか何とかがあって、この前もちょっと片付けたんだけど、もう終わっちゃった仕事のやつで も、ああ、まだこんなとこに挟まってたのかっていうようなファイルがごぼっとあったりすると、そろそろじゃあまた、キャメロンと90何年の話でもするか な、みたいなことを思ったりしながら、こないだ「スケジュール」にも書いたけど、日曜日とかレコード聞きながら半日くらい片付けものとかやってると、それ がすごく楽しいわけよ。
前は結局、ヒラ積みにしたまんま、どっかにオムライス食べに行ったり適当に遊びに行ったりしてたんだけど、今はとりあえずもう1回基礎工事っていうか、建物で言えばちょっときれいにするかなぁみたいな・・・。
M: そういう時期なんですね。
T: うん。さっきのライブ(を)始めるみたいなのもそうだけど、今、なんかいろんなことを変えたり、新しいことを始めるのにすごくいい時期だなっていうのを思ってて、それは例えば諏訪のやつでいくと、キャメロンにWebをやってほしい、と。早乙女も投入だと。
そういうふうに、こう、新しい形態のプロジェクト・チームとしていろんなことが動いていくようにしたいなっていうのはあるね。それはなんかね、大きな変化だと思う。
M: なんか上手くいえないですけど、立川さん、なんとなく変わってきてる感じがしますよね。
T: そう、それはすごく自分でも思う。
別にきっかけとかそんなのないんだけどね。
なんかね、この頃、今までと違うものに触れたりとか、違う興味や人間関係が出てきたりとか、そういう諸々のもの全部含めて、自分の中でここ10年間くらいなかったような変化が起きてるのかもしれない。
M: それってやっぱりもしかしたら、万博の影響なのかもしれないですね。
T: ・・・自分じゃ、わからないんだよね。
ただ、思うのはね。結局、ぼくの場合、何をやってる人かっていうことで言うと、キャメロンぐらい入り込んだり、飯田くらいそばに居ないと、作ってるものの実態ってわかんないわけですよ。
M: (笑)。
T: ホントに、あの人ってなんなの?っていう、さ。
だから(ぼくは)マルコム・マクラーレンみたいだって自分でも思うのは、真面目にモノ作りをやってるのか、単なる商売人なのか、じゃあその、すごくアーティスティックなクリエーターなのか、わかんないから、(傍からは)怪人とか、まあいろんなことを言われたりするわけよ。
そりゃやっぱり、どっかでは絶対ぼくのことを胡散臭いとかヤマ師っぽいとか思ってる人もいると思うのね。当然、だれだってこう、好き嫌いとか感じ方ってあるからさ。
で、自分でもなんなんだろうって時々思うわけ。
それでさ、昨日、中村君って学校の同級生と話してて言われたのは、やっぱり(ぼくは)変わってるわ、と。中学校の頃から変わってたけどって(笑)。
何が変わってるって、これをやるって言って、その通りにしちゃってるやつってなかなかいないって言うんだよ。
確かにぼくの場合、ほんとにそんなことやるの?って言われるようなことをやってるんだよね。
M: そうですね(笑)。
T: あの田村能里子展だってさ、ぼくが「こうしたい」って言った時、みんな絶対、そんなの出来ないと思ってたと思うよ。「何が宙吊りだ」とかさ、「何が転写プリントだ」とかさ。
M: (笑)できるわけねぇじゃねぇかって?
T: 今度も例えば「ドリーム シアター」でさ、パークハイアット(の10周年)で、「じゃホセ・カレーラス、呼んじゃえば面白いんじゃない?」って、ホセ・カレーラスにフォーエバー・タンゴに新内仲三郎さんに草刈民代さんを呼んじゃったわけ。そりゃチケット、売り切れるわな。
M: 確かに。不可能を可能にしてる、と。  
でも、それで言うとその「え、ホントに?」っていうとんでもなさみたいなものは年々すごくなってるんじゃないですか?
T: そうだね。なんか勢いとかなんとかっていうのは、加速がついてる感じはする。
M: あと、ぼくがなんとなく感じるのは、立川さん、前よりも物言いがストレートじゃなくなったかなって感じがするんですよ。周りにいて。
T: それはちょっと意外だな・・・。ぼくの中では(今は)前よりもいろんな切り替えが早いんだよな。むしろ前のほうがちょっと気ぃ使ってたかなって気がするんだけど。そうでもない?
M: ある種政治家っぽいっていうか、語らずして周りに自分の意思を伝えるみたいなことが出てきてるような気がする。
T: ああ、それはね。あると思う・・・。
M: なんかますます成熟してきてるのかもしれないですね。まだどんどん変わってるんだろうし・・・。
T: この前、今度11月号に出る「翼の王国」の平成中村座の取材で、歌舞伎座の楽屋に行って、勘九郎さんにまた話を聞いたのね。
その時、勘九郎さんが言ってたことで、ああ、それは自分にも言えることだなと思ったのは、ぼくが、「何で毎月、例えば極端なこと言うと25日間の公演を やって、それも昼も夜もやって、役もあって、その間に他のこともやってっていうことを続けてられるのか。その中村屋の芸ってなんなんですかね?」って聞い たのよ。そしたら、「うーん、自分じゃわかんないけどずーっとやってるってことかな」って(勘九郎さんが)言うわけ。
あの人たちって、物心ついた時に「手でおにぎり作ってごらん、その中に鼻入れてごらん」って言われてこう、やる。それがお辞儀なんだってさ。
そこから始まって、「3才位でヨチヨチ歩きの時に父親に手ぇ引かれて楽屋行って、白塗りさせられて舞台に立たせられちゃったとこからずーっとやってるんだよ」って言うわけ。
だからそれは、北野武さんが勘九郎さんに言ったらしいんだけど、魚って激流を逆に登っていくのって大変ですねぇって、知らない人は言うんだけど、魚って泳ぐって事に関してはずっと激流を遡ってるんだよ。(自然に)やってるんだよな?って。
ぼくの仕事もきっと、そういうことなんだよ。
ぼくはそれが好きだし、役者バカみたいなことでいえば、いまさら他のことなんか出来ないし・・・って考えると、やっぱりぼくはずっとこれをやってくんだって決めちゃったことが(ぼくにとって)、すごく大きなことだったのかもしれない。
M: なるほど。あ、もうすぐ着きますね。ここらへんで降りたほうがいいですか?
T: いや、大丈夫。そこを曲がるから。
あと、さっきキャメロンが言ってた万博については、ああいう寄り合い所帯で、いろんな人が来てやってる中で、ぼくは少なくともずーっとこの畑だから、みん なが「じゃ、立川さん、これ、どういう風にすればいいんですか?」って言ってくれると、やっぱり自分ってこういう仕事をするのに向いてる人間なんだなって いうのを自覚したっていうこともあるかもね。
M: ふーん。じゃ、当分この感じで?
T: しょうがないんじゃないかなぁ(笑)。結局今も、こう話してるうちにも2007年に何があるからとか言われちゃうとさ、50で引退するって思ってたし、そう言ったこともあったんだけど、「でももう、55になってるじゃないですか」って笑いながら言われち
ゃうと、それ以上もう何も言えないよな、みたいな感じ(笑)。
この前なんか「もう、(昔、)死ぬって言ってた年、とっくに過ぎてるわよね」とまで言われてさ。なんだよそりゃ、って。
でもそうだよなぁ、みたいな(笑)。
なんかそんな感じなんだよね・・・。
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