TIME WAITS FOR NOR ONE~立川直樹同世代トーク~

第5回 前編

「TIME WAITS FOR NO ONE~立川直樹同時代トーク~」の第5回目につけたぼくの密かなタイトルは「大人げのない大人たち」。
読んでいただけるとわかると思うが、今回の「TIME WAITS FOR NO ONE」には「大人げのない大人=不良」が山程、登場する。
そして文中の立川さんの発言にも出てくるように、そういうのってそうしようと思ってや るもんじゃないんだと思う。
自分達はごく真面目にやってるのにそれが傍目から見ると過剰だったり、少々常軌を逸していたりする。
だから正しい不良はかっこいい。「なんちゃって不良」はかっこ悪い・・・。
たぶんそれは、いつの世も変わらない、永遠の真実だと思うのである。

今回は、先月、立川さんに「絶対見たほうが良い」とまで勧められたKISS日本公演の初 日を見た後に話を聞いた。
ポール・スタンレーとジーン・シモンズ。
おそらく世界でも指折りの「大人げのない大人」たちのステージは実にかっこ良かったのだ・・・。

T=立川直樹 M=三島太郎)

子供もオヤジも大合唱 KISS日本公演

T: KISSのコンサートの良いところって、予想以上でもないしでも絶対以下じゃないっていうところなんだよね。だからほんとに歌舞伎に近くて、この キャスティングでこの演目やったら絶対良いぞって(思って)行くと、もうぴったり期待通りに「あ、これを見たかったんだよね」っていうものが見られるんだ よ。
それは、ローリング・ストーンズとか、(レッド)ツェッペリンとか、そういうものって前は多かったのが昨今はなくなってきちゃってるじゃない?
演出にしてもセットにしても変に知的にかっこつけてたりアートっぽくなっちゃってるのが増えたけど、今日、ポール・スタンレーがロックン・ロールはSad じゃなくてCrazyだって言ってたように、ロックン・ロールの大きな魅力の一つにクレイジーな感じっていうのは絶対あって、でもそういうものって実はす ごく減ってるんだよ。悪いクレイジーなものって多いんだけどさ。
それでぼくはキャメに(KISSは)見たことがないんだったら絶対に見たほうがいいって言ったわけ、あれは行かなきゃ、見なきゃわかんないんだよ。
M: ほんと、そうですね。そう思いました。
T: だってさ、普通、5分以上あんなに大量に紙吹雪を出すか?
あの火とか花火とかの感じとかオドカシの音とかにしても、ジーン・シモンズが吊られたり、ポール・スタンレーが客席の中のステージまで行っちゃったりっていう前後左右上下の動きにしても、全てが過剰だもん。
ロックの過剰さ、クレイジーさっていうのを、あそこまで照れなくやっちゃってるロック・ショーっていうのは、やっぱり唯一無二だよ。
M: あの吊られ方はすごかったですね。武道館のほとんどテッペンまで上がってたもん。なにもあそこまで吊らなくても・・・っていうほど(笑)。
T: あと、やっぱりKISSって、ものすごいタフだよね。 なんかロード・ウォリアーズみたいでしょ?でも日本のビジュアル系って、なんか身体が弱そうでさ、ゲイ系にいっちゃうんだけど、KISSは全然違うじゃない?
M: 体型があんなに変わらないってすごいですよね。スパッツがちゃんと似合ってる感じとか。
T: まあそれはさ、ロックの人たちはえらいですよ。ポール・スタンレーが特にすごかったね。顔はおじいさんになってきてるのに、あのスパッツがはけるってのがすごいよね。腕とかおじいさんだったでしょ。
M: 年取ったプロレスラーみたいな・・・。
T: それいいな(笑)。確かに年取ったプロレスラーだよね。きっと格闘なんだよな、あれな。
M: そう思った。ジーン・シモンズ、吊りのとこで(場内のプロジェクターの映像が)アップになるとちょっと辛そうだった。
T: ジーン・シモンズ、ゼーゼー言ってたね。前回くらいから結構もう、ゼーゼー言ってるのよ(笑)。
M: あ、そうなんだ(笑)。おっかしいなぁ。なんかそのまま映画になりそう。
T: ジーン・シモンズの舌のベロベロとか、昔はもっとすごかったもん。
それで、なんか結構老練になってきたなぁと思ったのは、あんなショーでありながら、(ポール・スタンレーが)MCで東京の鮨の話とかしたりしてね。
意外と愛想よかったりする、あの感じがロックの芸人魂のすごさを見た感じがするんだよね。
普通はああいう風に(MCを)すると、いわゆるファンタジー・ワールドが狂ってきちゃうんだけど、KISSのすごいところって、ああやってやりながらもちゃんとファンタジー・ワールドの構築性が崩れないっていうとこなんだな。
M: 「Are you ready? 」っていうコールがあんなに様になるアーティストも珍しいなと思いましたね。あのコール一発でワールドに引き込まれちゃう。
T: だからぼくの理論で言うと、やっぱり、ロックン・ロールって歌舞伎になってるのよ。あれKISSって単純に顔塗りしてるとかそういうんじゃなくて、例えばあれ、メンバー2人変わってるわけじゃない?
でもあの隈取してねずみ男になれば、誰でもあそこではKISSのドラマーなわけよ。
M: え? あれってピーター・クリスじゃないんだ。
T: 違うよ。でも、あれがああやったときに、いわゆるピーター・クリスなんだよ。
M: 気がつかなかった・・・。だから「ハード・ラック・ウーマン」とか「ベス」とかやんないんだ。
T: 恐ろしいね。
M: へえー。でも、そこで後釜になんか変にテクニカルなドラマーを入れないってのは戦略なんですかね?
T: わかんないなぁ。ぼくはあんまりああいうものを解読するつもりはないんだな。
M: うん。なるほど。
T: あれはロックの見世物芸として完成してるんだから。
細かく見れば、さすがに年取ってるから音楽にシャープさがなかったな、とか、なんか芝翫の「二人椀久」がよたってるみたいな感じだったなとか(笑)、いろいろあるんだよ。 でも、別にあそこのフレーズがどうこうとか、多少リズムがずれてようが、そんなことはどうでもよくて、ドラムのタブ回しより、花火の方がカッコいいって思っちゃうショー─This is a Rock’n Roll show ! でいいんだよね。今日、客も良い客だったじゃない?
M: そうですね。KISSのメンバーの頑張りをすごくなんかアプリシエイトするっていう感じがあって。
T: メンバーの乗せ方を知ってる。
M: そうそう。
T: やっぱり初日ですよ。
M: うん、そう思った。なんかすごい客層が多様でしたよね。
T: ちっちゃい子供がお母さんに抱かれて「ロックンロール・オールナイト」のサビを一緒に歌ってて・・・かわいかったよね。
M: ねえ。あとなんだかコワモテのオジサンが最前列にいるのもね(笑)。
T: ある意味、武道館て良い小屋だよね。KISSは東京ドームでやるとつまんない。同じく、マドンナも─--ドームとか千葉マリンス タジアムとかでもやったけど─--やっぱり武道館でリアル・ショーみたいのやるとすっごい良いんだよ。プリンスもそうだな。
M: 武道館がすごい小さな小屋に見えましたね、今日は。でも、本当に見れて良かったな。
T: みんなさぁ、長くやってるやつを軽く見てるとこがあるよね。
M: (笑)。
T: キャリアって、すごい大きなポイントでさ。  
ずーっとやってるとさ、言葉ではうまく言えないけど自分の中に刷り込まれていくことってあるんだよ。
それはプロレスラーが自分の奥深いところにある関節技で最後は勝っていく─----カール・ゴッチみたいなもので。
ぼくも、自分がこの歳まで生きて仕事するとは思ってなかったけど、やっぱなんかこう、55くらいになってくると、カール・ゴッチ的な感覚というか、ベテランがカール・ゴッチ的な方向に行かざるを得ない感じっていうのはよくわかってきたね。
M: なるほどねぇ。
T: 今やってる夏木マリさんとの仕事もちょっとそういうとこがあって。
M: CDを作るんですか?
T: 違う違う。ダイヤモンドの会社のためにプロモーション用のDVDを作るの。で、ぼくもマリさんも、そういうのって変に気張ってやるより、なんか小粋な洒落がいいなってところで一致して。
それでシャーリー・バッシーの「ダイヤモンドよ永遠に」を、グレィス・ジョーンズ方向のアレンジでやろうってことになったの。かっこいいよ、これは。
M: すごそうですね。
T: たぶんキャメロンが(ぼくのことを)面白がってる部分ていうのは、そういうとこだと思うんだけど、急になんかそういう、俗っぽいことを考えるんだよね。
こういう時、オリジナルでどうのこうのっていうよりは「ダイヤモンドよ永遠に」がカッコイイんだよなっていう、これはやっぱり理屈じゃない、長年のキャリアから来る、勘みたいなもんだとしか言いようがないんだよな。
今日のKISSのコンサートも2時間弱でパコーン!とまとまったでしょ。実質1時間50分ぐらいのショーで。短いのもダメだけど、ものすごく完成度高いよね。あのアンコールの持っていき方とかもやっぱりキャリアの賜物だと思うな。

田村能里子展を振り返って

M: 前回の続きで田村能里子展のお話を少し・・・。
T: うん。終わったあとの反響はすごいね。思いもかけないような人から電話がかかってきたり。
M: そうですか。
T: ぼくも海藤さんも高田さんも前から結構一緒には仕事をしてたんだけど、90年代の頭頃っていうのは、イベントなんかでも予算があったから、三枝さ んのイベントの演出とかやってた時でも、高田-海藤-立川組みたいのがあると、結構大胆な、前に話した火とかなんかの演出やショーみたいのもやってたんだ けど、その後、まあ小ぶりになってきて、存分に、というのはなかったのね。
でも、今回は田村さんと話してて、「皆に見たことのないものを見せたい」ってぼくが言ってしまって、田村さんも「私もそういうのが好き」って言って、まずその出会い頭のものがいい感じだったのね。
それと、優れたアーチストって、プロデューサーとかスタッフに良い仕事をさせるオーラとかパワーがあるんだよね。明るいとか、(たいへんなことがあっても)平気じゃない?って思わせる─--なんかテンションってあるじゃない?
彼女はまるで太陽みたいに、それを持っててさ。どんどん皆を加速させてく感じも、作ってる途中で感じたし。
(ぼくも)久しぶりに、やっちゃえ!みたいな感じで(仕事を)できたね。
打ち上げのときに、施工の人間に「最初お前、ぼくのことなんか信用してなかっただろう?」って聞いたら、「実はそうです」って言うぐらい(笑)。
M: (笑)。
T: ちょっとえらそうに言うと、全部のものがこうなるっていうのは、ぼく以外、誰もわかってなかったと思うよ。前例がないわけだからさ。
M: うんうん。なるほど、最終形がね。
T: あとたとえば、ちゃんとした絵画というのを、2点、裏表で展示するなんていうのも、美術界としてはかなり掟破りなわけで、でも最後の最後に全部が繋がって・・・。
だから、ちょっと王家衛、入ったかもしれない(笑)。説明できないんだよ、だって。(スタッフへの指示は)部分的にここをこうやってくれっていうことで、皆そこに関しては一所懸命やっているわけだから。
でも作り終わった時にはスタッフもすごく喜んでたし、自分でも感動したね。ほんとに無駄がなかったと思うんだな、あの空間構成は。
M: ぼく、見に行ったのが確か日曜だったかな?それで田村先生のコメントをビデオで撮らせてもらったんですけど、すごくうれしそうで。
T: あれは、物を作るとか何か新しいビジョンを求める人にとっては、得難い空間だったかも知れないと思うんだ。それはやっぱり丸ビルっていう場所もす ごく上手く機能したし、前に、「ほんとに立川さんって吊り好きだよね」って言われたことがあったんだけど、ぼくなりの「吊りもの」の第一期集大成みたいな とこがあると思う。
M: では、仕込みの最終段階の立川さんの仕事振りのサワリと、田村先生からのメッセージ・ムービーを皆さんにも見ていただきたいと思います。  
おまけに立川さんの別件の打ち合わせ風景付き、で。
T: あ、そうなの。

※ムービーをご覧になるには、最新のMicrosoft® Windows Media™ Playerが必要となります。
  お持ちでない方は、こちらのサイトで入手後、ムービーファイルをご覧下さい。

「シャングリラの予言」はマッケンジーの冒険なんだよ

M: 先日発売された、森永さんの「アイランド・トリップ・ノート ~島を愛する自由人たちへ~」、すごくおもしろかった。
T: 昨日、たまたまぼくの好きな編集者とアートディレクターと話してたら 彼の話になって、「森永さんみたいな人っていませんよね」って。森永の本って、オリジナリティ、すごいよね。
M: ちょっと前の「セブンシーズ」の北京特集で森永さんが書いてらっしゃった文章でも思ったんですけど、文章がむちゃくちゃかっこいいんですよね。
T: うん。なんかますます深まってるんだよ、この頃。こう、いい感じで。
M: それに何て言うんだろう、あのぶっ飛んだ視点というか物事の掴み方みたいなのってホントに森永さん独特なものだと思うんですよ。
T: そうだと思うよ。だから、全然親友だからっていうんじゃなくて、いろんな人がぼくのことを書いたりした時期があったんだけど、森永の書いたのが図 抜けてすごいよね、掴みが。単に作家というだけでもないし、だから、ちょっと日本のボルフェスみたいなとこがあるんじゃないかな。
M: 森永さんて冒険家なんですか?ある側面として。
T: そう、あいつは最初から冒険家なんだよ。
伝説化してるシャングリラにしても、森永が冒険家として、ぼくの行動様式を突き詰めてくってことがコンセプトなんだよね。
シャングリラが当たってた時に似たような人がいくつか対談をやってるんだけど、たいてい失敗してるのは、シャングリラっていうのは対談じゃなくて、森永の探求であり、追及なんだよね。
だから全然知らない人は、森永がぼくに、「おまえそんなことも知らないの」って言われてるところが、なんか漫才ぽいっていうんだけどそれも違ってて、実はあれは森永的な探求なんだよ。
それは、(探求を)されることもぼくはおもしろいし、ぼくが知らないこととかもあいつはすごく持ってるから、それがすごく面白い。
M: ふーん。
T: そう、シャングリラってカルプレだったのかもしれないね。
M: カルプレ?
T: うん。昨日、その編集者たちと話してた時にそんな言葉が出たんだよ。
このごろみんな、カルチャーで遊んでないよなって。
おい、コスプレがあるんだから、カルチャー・プレイって言って「カルプレ」ってやろうよ!って。月刊カルプレって雑誌とか作ってさって、結構それで盛り上がっちゃって、 みんなで。
M: うんうん。


カルプレ、やろうぜ!

T: 昔、街の正しい本屋とか正しいCD・レコード屋とかって行くと、そこの親父が「これ、聞くといいよ」って言ってくれてそこで衝撃的なものに出会う、みたいなのがあったじゃない?
今、CD屋でそういうこと言ってくれるとこ、どこもないでしょ?本屋でも。
でもぼくらは嗜好品を買いに行ってるんだから、食べたり飲んだりするところみたいな的確なお勧めがなされていないっていうのは変なんだよ、ね?
代官山あたりのセレクト・ショップみたいなとこの「何とかのオススメ」みたいなチャラいのもまた困るんだけどさ。
M: 立川さん、代官山が嫌いですよね(笑)。
T: いや、別に代官山に何の恨みもあるわけじゃないけど、代官山っていうのをひとつの象徴として考えれば、ほんとに今代官山あたりで起きてることっ て、なんかその、カルチャーを遊んでないのに遊んでるように見せてるところが、妙にちゃらい感じがするんだな。全然なんかこう、軽味がない。
役者で言うと、軽妙洒脱さみたいなものが代官山の文化には一切ない。だったら、六本木の、あのディープな、黒人が立ってる横のとこにある、怪しげなアジアショップの方がよっぽど文化っぽい感じがするんだよね。
M: はい。
T: あと最近さ、編集者とアートディレクターと誰とかって皆でつるんで、何が面白いから今度行こうぜとか、そういうのすごく減ったじゃない。
M: ああ、そうですか。
T: そう思わない、でも? みんなネットで情報収集はしてるんだけど、それでどこかに行くかっていうと、行ってない。
なんか耳年増じゃないけど、ネット年増っていうふうになってるのね。そこでやっぱり「プレー」が無さすぎるんじゃないかってことに(話していて)なったわけよ。
例えば、ライナー・ノーツとかっていうのも、このごろ単に紹介だけで、前みたいにそれをきっかけとして論争が起きたりすることってないじゃない?
M: ああ、なるほどね。
T: 雑誌で、皆が良いって言ってるレコードに、星1個つけちゃって、レコード会社からクレームつけられたとか、そんな話も(最近)聞いたことないしさ。
ぼくだって、昔、あったもん。週刊プレイボーイで映画のコラムの連載やってた時に「C・C・ライダー」っていう映画のことを書いたのね。それが当時のアメ リカン・プロ・フットボールかなんかの人気選手が映画スターに転身したっていうんで、アン・マーグレットが人気女優かなんかの役で出てて、ヘルス・エン ジェルスのリーダーが、その人気女優と恋に落ちて、仲間を捨てて去ってっちゃう話なんだよ。
M: ふーん。
T: そんなヘルス・エンジェルスはいないよなぁと思ったからさ、(その映画のことを)「C調ライダー」って書いたら、その後、(同じ配給会社の)試写に行った時に「立川さんにはうちの映画、見ていただかなくて結構です」って言われてさ。
M: (笑)。
T: それとかさ、「ある愛の詩」ってあったじゃない?なんかその試写会の時かなんかにプロモーションでハンカチ配ってたんだよね。  
で、ああいうしみったれた映画、嫌いだったんで、「全然つまんなかったんで、ハンカチ配ってたから洟かんで帰っちゃったよ」
って書いたら、やっぱりそれも、出入禁止になったりとか。
最近そういう感じ、ないじゃない?
みんななんか映画評論家って通り一遍で、「ラスト・サムライ」にしても「21グラム」にしても、皆が同じような言葉で誉めるだけじゃない? 
「21グラム」なんか、ぼくは良い映画だと思うけど、そこにもうちょっとなんかさぁ、批評性とか、反骨精神とかを持って書く人間がいてもいいんじゃないか、って、そん な話をみんなでしてたんだけどね。

ネットから離れて街に出よう

T: だからさ、今、学校でも、学生にとにかく数を見ろって言ってんのね。
これはだめだ、これはいいなっていうのは 食べ物とかも一緒だけど、数をこなして初めて見えてくるってとこが大きいから。
M: そうですね。
T: 昨日もさ、オペラシティアートギャラリーに行ったら、20人かなんかのアーチストの作品が、プライベート・コレクションみたいな形で出てるわけ。 で、笑っちゃったのが、数が(多く)出てるのが草間弥生なんだよ。そしたらみんな草間弥生のパワーにやられちゃってるの。ジュリアン・シナーベルとかも。 すごい面白かったね、あれ見てると。
M: 並ぶとすごいんでしょうね。
T: もうなんか、並んじゃうと、アートっぽくやってる人と、アートの人の違いだね。
あと、福岡君っていうカメラマンがビートルズの匂いのあるところを全部写真に撮って 紀行みたいにしてっていう展覧会の案内を送ってきてくれて、この前、青山に見に行ったんだけど、その福岡君が昨日、アダンで例のカルプレの話しながら飲ん でた時に彼の本をプレゼントしてくれて、それがすごく良くて。で、最高なのは600万円掛けて本を作って、印税がまだ20万だって言うんだよね。
なんかその注ぎ込み感覚ってのが好きなのよ。
M: 注ぎ込まないとつまんないですよね。それこそ周りに非難されながらも・・・。
T: さっき言ったネット年増ってことで言えば、ネットでパッと瞬時に情報を見ることによってその気になってわかったような気になってるけど、そこには味覚もなければなんにもない、ネット上の無味乾燥な情報だけなんだよ。それはちょっと違う。  
数に触れて、街に出て、注ぎ込んで・・・。そういうところからいろんなことが始まるんだと思うんだ。
M: 前に森永さんと話してて、「街に出て店に来てさ、横の奴とちょっとぶつかったりなんかする、そういうのを含めて全部面白いわけよ」っておっしゃってて。  
なるほどなぁ、と思ったんですけど、こないだ行ったFAVELAで久々にその言葉を思い出したんですよね。
T: ああ(笑)、林(文浩)さん?
M: そう。立川さん、昔から知り合いなんですか?
T: いや、最近なんだよ。たまたま(現在、FAVELAにいる)青木と京都に行って飲んだ時に紹介されてさ。  
「前から好きだったんで、一緒に飲めて光栄です」とか言ってくれて、だからっていうわけじゃないけどすごく気持ちの良い人だなと思ったんだけど、それが最初なんだよね。
M: (林さんの著書の)「外道伝」に書かれてる姿とある意味全くギャップが無かったんで逆にびっくりしたんですけど、でも変な感想かもしれないけど、ああいうワイルドな人がいないと、東京の夜って絶対つまんないよなって思ったんですよ。
T: 無頼だよね。でも、わかる。
M: しかし立川さんは不良の人たちにめちゃくちゃ慕われますよね。
すごく熱くて、やばくて、でも礼儀正しい不良たちに。
T: よく森永とぼくと不良とかって言われるんだけど、自分達不良だと思ってないもの。ただ要は好きにしてると不良だと言われるだけのことであって、ぼくらは別に悪ぶってるわけじゃなくて、ちゃんとしようとしてるんだよ。
周りから、いろんな意味で乱暴な奴だと思われてるだけで、別にぼくも森永も、あえて乱暴にしようなんて思ってない。ほんと、すごくちゃんとしようと思ってるの。
M: うん。それはわかります。
T: 一所懸命・・・。
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