ARCHIVE:緊急日記

2007年8月8日~8月21日

Aug 8th(WED)
暑い。朝から気温は30℃近くになっている。
車で移動し、マーキュリー・レヴなど聞いていると、どこの国にいるのだかわからなくなる。おまけに高速道路も大渋滞。2時のファーンウッドでの平成中村座ヨーロッパ公演のミーティングにはとびこみ状態になる。その後はMICAでFOLTEのミーティング。
夜は「Va-tout」でRockの本のミーティングをすませて、久石さんの打上げに出るために池袋に向かう。何だか長くてバラエティにとんだ1日。帰宅後、レナード・コーエンの歌を聞きながらバランスを合わせる。本当にいつも彼には救われる。


Aug 9th(THU)
8時半に木曽福島に向けて出発。途中8kmで70分という渋滞にまきこまれ、予定より1時間遅れで到着。昼は観光課のF氏と上の段地区にある江戸時代の屋 敷を改築した「松島亭」でランチミーティング。野沢菜とリンゴの冷製パスタが意外なおいしさ。食後、いわや旅館にチェック・イン。原稿書き。夏休みの作家 の気分だ。
4時頃にJTBのH氏が到着。広小路のそばの喫茶店“プラタナス”でミーティング。7時からは上の段で川遊び衆の木やりに始まり、木曽踊りが始まる。幻想 的な感じがとてもいい。木曽踊りの終了後、役場や町の人たちと会場の広小路広場に面した“かなめ”で宴会モードに突入する。七笑のにごり酒に鶏チャン、も やし炒め、そして七笑の生原酒。日本の懐かしい夏休みの気分を満喫する。


Aug 10th(FRI)
露天風呂から見える山の緑が美しい。金曜日だというのに前日の延長で夏休みのような気分。ちょっと得した感じの2日間だ。10時にはO君が迎えにきてくれて開田高原をドライブ。ノラ・ジョーンズの歌がぴったりと合う。御岳ロープウェイで眺望を満喫し、昼のそばで仕上げる。
午後は旅館で電話連絡と原稿書き。木曽山中でロックのことを書いているのがおもしろい。
6時過ぎ、諏訪から到着したM氏、O氏と合流。上の段の“肥田亭”で一服。7時からの木曽踊りは名古屋からきた民謡研究会の人たち130人が加わり、中々 の壮観。1年ほど前にここにきて、木曽節を聞き、昔の木曽踊りの写真を見て、風の盆に共通する何かを感じたことがこうしてひとつの形になるのはすごくうれ しい。思えば、本当に最近、プロデューサーとして扱うものの範囲が広がっている。
その後、広小路でも前夜以上に踊りの輪が広がり、また前夜以上に飲んでしまった。


Aug 11th(SAT)
朝食後、諏訪に向けて出発。クリス・レアの声とギターが素晴しいサントラになる。浜の湯到着は10時半。11時から最後の2時まで5つミーティングをこなす。土曜というのに凄いスケジュールになっている。その後は原稿書き。ロック・ドリームの世界の旅を続ける。
夕食はY氏、N氏とお盆の特別料理。シャンパンと赤ワインがうまくはまる。
8時半過ぎに諏訪湖で花火。そして「桃源郷」でロック漬け。最後はかなり濃密な時間になる。


Aug 12th(SUN)
朝食後、東京に戻る。快調な走り。本当にドライブにはクリス・レアの歌とテンポがよくあう。それにしてもひどい暑さ。明らかに地球がおかしくなっていることを感じる。
帰宅後は久々に空白の時間。カミュの「異邦人」のムルソーじゃないが、抜けるような夏空が余り何かをする気にさせない。これ、言い訳かも…。


Aug 13th(MON)
11時30分のミーティングから仕事に復帰する。リッツ・カールトンの45Fの日本料理“ひのきざか”で年末の日中国交35周年記念のイベントについて約 1時間。それから2時03分の のぞみで新大阪へ。車中でSクン、Yさんと合流。丸紅の1Fにある文化の力 ラウンジの活用方法についてミーティングする。夜は「美加佐」で食事、「nadja」で飲むというゴールデンコース。焼いた猪肉、定番の皮鯨、馬刺とサン テ・ミリオンのマッチングが最高。最後のしゃもスープも抜群。「nadja」ではストーンズ、L・コーエンあたりの定番ものから最後は越路吹雪にちあきな おみという濃厚な流れ。越路吹雪の「人生は過ぎゆく」を聞いている時に、強烈に10代の頃の新宿2丁目の「ナジャ」に出入りしていた記憶が甦ってくる。


Aug 14th(TUE)
5時45分起床。
6時30分から朝食をとり、7時41分のサンダーバード3号で金沢に向かう。車中では2時間近く爆睡。いくらでも眠れる感じだ。海の風に吹かれて眠ってい たいという願望が頭をよぎる。到着後、ホテルにチェック・インをすませ、金沢城オペラ祭りのファイナルコンサート“The地球LIVE”の立ち会いのた め、金沢城公園三の丸広場に向かう。
熱い。本当に脳味噌だけではなく、身体まで溶けてしまうのではないかと思うくらいに熱い。初めて“熱中症に注意しましょう”という呼びかけの言葉に現実味 を感じる。そして、その暑さのためか(暑さのせいにしようとしている感じもあるが)リハーサルが一段落し一度ホテルに戻った時に、タクシーの中に携帯電話 を置き忘れてしまう。それから翌朝まで続く捜索劇と世界と遮断されてしまったような不思議な感じ。僕はメールもやらず、携帯にデータも入れていないのだ が、それでも奇妙な喪失感があるのだから、依存している人にとっては大変なことになってしまうに違いない。
6時半にEvery Little Thingからスタートしたコンサートは結果としては実に平均的な野外コンサート。加藤和彦と坂崎幸之助が結成した“和幸”の「イムジン河」にイム・ヒョ ンジュが加わったパフォーマンスはちょっと感動的。でも、3日の松本城といい、今回の金沢城といい、今年は城に縁がある。週刊文春の坂東三津五郎の城をめ ぐる対談もとてもおもしろかった。「ZEST」(東京の「ZEST」とは何の関係もない)なる店で行われた11時からの遅い打上げも雰囲気は和気あいあ い。またひとつ新しいプロジェクトが始まりそうな予感がする。こんな調子だと仕事量を減らそうなんて夢のまた夢の話かも知れない。


Aug 15th(WED)
9時15分発の飛行機で東京に戻る。完全な寝不足。でも、機内チャンネルのボサノバ特集が気持良くて、しっかりと聞いてしまった。改めてゲッツ&ジルベルトの“イパネマの娘”は名曲・名演であることを実感。
そして、1時には「日本のエンタテインメント半世紀展」の仕込みのために渋谷・東急本店入り。途中、来てもらってのミーティングをやりつつ、FM東京に展覧会のPRをしてもらえるというので生番組の収録に出かける。
夜は赤坂の「龍坊」でMクンと打合せをしながら食事。久々の「龍坊」の料理。とてもおいしく感じる。フカヒレとビーツのスープと軍鶏が絶品。その後、「OLD LAYLA」と「PB」をハシゴするが暑さと忙しさによる疲れにやられ、睡魔と戦う感じになる。それにしても多治見での40.9度という温度はもはや殺人的。東京での体感温度も間違いなく40度近い。本当に地球は今、大変なことになっている。


Aug 16th(THU)
10時に東急本店入り。11時からのテープカットと開店式にはたくさんのメディア取材があり、展覧会は好調にスタートする。昼は美佐さん主催で8階の「な だ万茶寮」で食事会。クレージー・キャッツの犬塚弘さんと中尾ミエさんを中心にした昔話が、芸能界の良き時代に心を遊ばせてくれる。昼食なので、お酒が飲 めず。時間の制約があったのが本当に残念。
午後は事務所で平成中村座ベルリン公演とミー・リン・プロジェクトのミーティング2件。
夜は新富町の「BAR DIGO」でOクン、Sサン、Kサンと会合。壁にジョン・ポール・ジョーンズのサインがあり、イエスの“ラウンドアバウト”などがほどよい音量で流れる居 心地のいい店で、鮎のコンフィー、タコとジャガイモとオリーブのマリネなど食べ物もワインもとてもおいしい。気がついたら、4時間が過ぎていた。


Aug 17th(FRI)
午前中ミーティングをひとつすませ、午後は1時からルテアトル銀座で早乙女太一の舞台を観る。仕事として観なければならないのがちょっと辛い。その後、日本テレビで夏木マリさんと来年1月に現代美術館で企画しているパフォーマンスのミーティング。
5時30分からはイタリア文化会館でヴィスコンティ展の写真の管理についてのミーティング。少しづつものがかたづきつつあるのがうれしい。
夜は久々に近所の「Jasmin Thai」でタイ料理。暑さと合っているせいか、それともしばらくエスニック系のものを口にしていなかったせいか、とてもおいしく感じる。でも、タイ産の白ワイン、モンスーン・ヴァレーは期待外れだった。
帰宅後、TVのニュース。相変わらず猛暑のニュースと防衛省の人事トラブルのニュース。この国が鉄板の上で熱くなっている感じがする。


Aug 18th(SAT)
久しぶりにプライベートな時間が手に入る。かたづけものと原稿書き。ペースが戻りつつある。
午後は東急本店で宮川彬良さんとトークショー。宮川泰さんの話から最近の音楽シーンの話までとてもおもしろく、あっという間に1時間が過ぎる。
夜はシャンパンと軽いつまみでロリーナ・マッケニットのアルハンブラ宮殿でのLive DVDを観る。とても静かな時間。幸福な気分に酔う。


Aug 19th(SUN)
再び暑さがぶり返す。朝少し書きものをして、Bunkamuraザ・ミュージアムで行われている「ルドンの黒」を観に出かける。作品は余り趣味ではなく展 示も平板だったが『夢は死によって終わる』という作品タイトルがとても頭に残る。その後ルシネマで前から観たいと思っていた「マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶」を観る。本編の前に上映された「山猫」の予告編でバート・ランカスターが「私は不幸なことに新旧ふたつの世界にまたがって生きている」と言って いたのが、頭の中に強く刻まれる。僕自身がそうだからだろうか。
昼はAサンと「天一」でお好み天ぷら。夏の暑さとうまくはまる。2時からは木の実ナナさんとトークショー。向島の鳩の街育ちの話から全てが浮世離れしてい て前以上に彼女のことが好きになる。亡き吉行淳之介がファンだったというのも納得。そして自分はやっぱり芸能好き。かたぎの世界よりもプロの世界が好きな んだと実感する。
帰宅後、ロックの本の原稿書きをしながら資料チェックも含めてCSN&Yを聞いたらその凄さに完全にハマってしまう。その不思議なトリップ感はどんどんハ イになり、仮住まいのDUPLEX TOWERの13Fの部屋でドアーズの1968年のヨーロッパツアーとビートルズの64年の初めてのアメリカ上陸のDVDを見ながら、シャンパンと生ハム やチーズの軽い夕食というつながりになってしまう。平日よりも少し押さえた感じの東京の夜景。時間がどこかで止まっている。


Aug 20th(MON)
暑い。何度も書いているけど本当に暑い。でも、レオ・セイヤーの歌ではないが仕事をShowだと思えば、まさにShow must go on…。物事は確実に進んでいく。走る車の中でラウル・ミドンの歌が空の色とぴったりと合っている。
そして、3時30分、久しぶりの試写で見た「題名のない子守唄」は暑さを一瞬忘れさせてくれるというか、どこかへ連れていかれてしまうような強力な映画 だった。エンニオ・モリコーネのスリリングなスコアと迷宮に入ったような気分にさせられるストーリー展開。前日のトリップ感とは種類の違うものだったが、 前夜同様、外に出かけてテンションが変わってしまうのも嫌で13Fの部屋でにごり酒を飲みながらTVのニュースを観る。


Aug 21th(TUE)
5時起床。ロックの本の原稿書きもそろそろ大詰め。朝からジョン・レノンの歌にハマる。こんなふうに名曲チェックをしていると本当にロックの黄金時代に生 きられた幸福を実感する。仕事は渋谷セルリアンタワーで、来年3月にニューヨークでレコーディングしようという安富祖貴子の新作の選曲打合せに始まり、尾 山台のAUDI、日比谷のペニンシュラと東京縦断のような移動で進む。暑さとウィリー・コロンの音楽がぴったりと合う。
夜はグランドハイアットで行われた“金沢ごのみ2007”のパーティーに顔を出し、その後「ボヘミア」でクラブ・シャングリラの対談。隠れ家のような作り と、食べ物も実においしい。最後は久々に「PB」で仕上げ。Mと一緒にしみじみと「ここがあってよかったね」とつぶやく。流れていたのはビートルズ―。

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