ARCHIVE:立川直樹への永遠の質問

2007年 1~2月

2月28日 最近、セルジュ・ゲンズブールとホイットニー・ヒューストンが一緒にTVショーにでている映像というのを見る機会があって、それ、ゲンズブールが2分ぐらいの間にとにかく一方的にホイットニーに “なついていく” というすごい映像なんですが、あの方はフランス人としてもある程度 “変わった人” なのですか? それともフランスの男性はわりとああいうふうに女性にしたしみやすうい傾向があるのでしょうか?
「あの方、我が師セルジュは、フランス人としても、地球人としてもかなり正しく “変わった人” です。 話、エピソードが尽きないくらいに・・・」

2月27日 立川さん、六本木○丁目とか西麻布○丁目とか聞けば、だいたいどのあたりかの見当はつきますか?
「大体はね」

2月26日 歴史の長い成熟した業界で仕事をするのっていろんな意味でたいへんだなぁ、と部外者の立場からは思うのですが、立川さんは今の仕事をしていらしてそんなふうに感じたことはないですか?
「仕事をすることが、そもそも大変なことなんだよ。 そして、人と一緒に仕事をすれば、やっぱり、いろんなことが起きるし、いろいろ思うこともあるよね」

2月23日 音楽や美術から受ける感動をより大きくするための、何か具体的な方法や訓練手段のようなものはあるのでしょうか?
「まず数を見ること。 行く前、出会う前に先入観を持たず、何でも見る。 そうすると、いいものとよくないもの、魅力あるものとないものの差が理屈抜きでわかる」

2月22日 一方、必要以上に仲良くなりすぎてしまった(!)お店としては爐談が挙げられるわけですが・・・。 仲良しついでに営業の協力をしたいと思うのですが、でもご存知のようにあそこはたいへん客を選ぶお店だと思うので、立川さんから見て「爐談はこんなタイプの人がこんな使い方をすると楽しめるお店ですよ」という推薦文を書いていただけないでしょうか。
「まず、店の内装とか働いているお運びのおネエちゃんやおニイちゃんとかに一切価値基準を求めず、純粋においしいもの、それもちょっとひねりが入った旬のものを気楽に・・・ というか形式ばらずに食べたい、 その時、ヘタなウンチクもたれられず、普通にお酒がでてくる。 “季節料理”って看板と昔の映画のポスター、時々流れるサム・テイラーのサックス・・・ そんな環境もほのかなタイムスリップを楽しめる、ありそうでない店で、今の東京では貴重なSPOTと言える。 もっと書けるけど、これでいい?」

2月21日 先日ご一緒したシャンパン・バーのように、「今日はこれを飲みたい(食べたい)気分だから、この店!」という店の選び方って、とても明快で気 持ちがいいような気がします(そしてその裏には、「必要以上にお店の人と仲良くなりすぎない」という楽しみ方が今、ぼくは好きなのかもしれないとも思いま す。) 立川さんはいかがですか? 「きょうはこれでイキたいから、それならこの店!」という発見は最近どこかでありましたか?
「その通り! 先週は1週間弱、珍しく体調が悪かったんだけど、回復の兆しが見えた時、夜はシャンパンだなと思ってあけたら、ピタッとはまった。 店じゃなくて家で・・・ そしてオリーブやタコのマリネなどをアテにジョージー・フェイムなど聴きながら飲んでいる。 東京って便利だなとしみじみと思った。 たまにはこんな夜もある・・・」

2月20日 最近、いろいろな先輩たちとお話をさせていただいていてよく思うのですが、巧まざる「愛嬌」とか「なんとなく憎めない感じ」って、社会的な生き物である人間にとってとても大切なんだな、と。 立川さんはそんなことを考えたことありますか?
「大切ってのは変な言い方だけど、“愛嬌”はあった方がいいよね。 そして“なんとなく憎めない感じ”ってのも文字通り、あるにこしたことはない」

2月19日 立川さんは「少子化問題」について国が何らかの方策を講じたりすることは、そもそも適切なことだと思いますか?
「もっと早い段階にやるべきだったと思う。 この国は何でも手遅れなんだよ。 教育問題にしても何もかも・・・」

2月16日 いわゆる「勤め人」じゃない人ほど、最低限の蓄えはあったほうがいいと思いますか?
「まあ、ある程度は・・・ でも、困った時に頼れる人の方がもっと大事だと思う」

2月15日 この前ふと気がついたんですが、ぼくは自分が住む街やマンションの「客層」ならぬ「住人層」がすごく気になるんですね。 何が良くて何が悪いはうまく言えないんですが。 立川さんはたぶんぼく以上にそういう方だと思うのでお聞きするんですが、こういう好き嫌いって、住む場所を選ぶ場合、妥協しないほうがいいですかね? やっぱり。
「そういうことを気にし始めると、マンション・アパートの類いには住めないね。 それが嫌で何十年か1軒家のようなアパートで暮らしたけど、都会だと、これもまた否応なしに近所づきあいを避けて通れない・・・ 大体、誰が住んでるかなんて事前にチェックできないし、できたとしても、現実にはいろいろ起きるよね」

2月14日 立川さんは、つき合う女性に、ご自分の仕事の価値や意義のようなものを理解していてほしいと思う人ですか? それとも、そんなこと全然興味がなくてもいいんじゃない? と思う方ですか?
「自分の仕事の価値や意義なんてものは、自然に理解されるものなんじゃないかな。 それがつきあう女性とか友人とか仕事仲間・・・ といったことの区別なしに・・・」

2月13日 「沈没船の引き揚げへの投資」を名目とした大規模な詐欺事件が報道されました。 詐欺が悪いのは当然ですが、こんな勧誘にお金を出してしまうというのもちょっと信じがたく、なんだかシュールな感じさえしてしまいます。 こういうのって永遠になくならないものなんでしょうか?
「昔からこういうのって本当になくならないというか、悪知恵を働かす人たちが次から次へと出てくるよね。 でも、いつも思うんだけど、何でこんな漫画というか劇画的な発想のものに、だまされちゃうんだろうね。 “シュール” という言い方は、ぴったりだよ」

2月9日 お酒に依存せず、良い関係を保ち続けるために必要なことって、どんなことだと思いますか?
「正直であること。 曖昧な言い方かも知れないけどね。 いろいろな意味。全てにおいて・・・」

2月8日 2006年の映画の興行収入は、ついに邦画が洋画を上回ったそうです。 その一因として、「観客の洋画離れ」ということが挙げられているのですが、この現象(「洋画離れ」)の理由として思い当たることはありますか?
「TVがそのまま大型化したような映画を映画だと思ってしまわされた観客の増加。 この前、「さくらん」の試写室でおすぎと会って話をしたんだけど、“いい映画”をきちんと伝えられる人と媒体がどんどん減っていること、いろいろあると思う。 これって、今度ひとつのテーマにして話、しようか?」

2月7日 “やたら次から次へと失敗を繰り返したりトラブルを起こす人”=たとえば、映画「チェンジング・レーン」のサミュエル・L・ジャクソンが演じる人、とはどんなふうに付き合うべきでしょう? やっぱり“適切な距離を置く”でしょうか。
「もし可能なら、“適切な距離を置く” なんて生優しいことではなく、“近づかない” というか関係を余り持たない方がいい。 そしてツキがない人とつきあうと、こっちまでBad Vibrationがきちゃうことってあるよね。 距離感のとり方というのは、仕事にせよ、プライベートにせよ、とてもむずかしいし、大変なことなんだよ」

2月6日 気持ちがダウンしている時、家でダラッと1人で見るのに最適な映画って、たとえばどんな映画でしょう?
「キャメロン、気持ちがダウンしてる時に、家で1人で映画なんか見るんだ・・・ それって変だよ。 でも、もしそうするんだったら、なるべく浮世離れした映画がいいのかなあ、やっぱりわからないや。 僕はハード・ロックとかピンク・フロイド聞きながら、車飛ばすのが解消法。 あとはいい音楽とお酒のドッキングね」

2月5日 立川さんはこの先、また “職業を変える” ことがあると思われますか? もちろん、今までも明確に “職業を変えようとして変えた” ということではないのでしょうが・・・。
「前にも言ったかも知れないけど、中学3年生の時にボリス・ヴィアンの存在を知り、『職業がひとつしかないのは売春婦と同じだ』 という言葉とともに、まるでカメレオンのようにたくさんの職業を持つのがカッコいい、というか最高だと思った。 その “教え” に従い、プロとしては舞台美術の仕事に始まり、音楽評論家、レコード・プロデューサー、映画音楽のプロデューサー、エッセイスト、ラジオ・テレビの仕事、と次々と職業というか “肩書き” を増やし、音楽から映画、美術、現在は都市の再生の仕事までするようになってしまった。 だから “職業が増える” ことはあっても “変える” というようなことはないだろうな」

2月2日 先日、お会いした時に「ぼくも北海道には一時、はまったなぁ」とおっしゃっていましたが、立川さんにとっての北海道の魅力はどんなところでしたか?
「車で走った時の道路の感じ、それに景色の大きさ、歴史的背景を考えてみても、人が自由でおおらかなところ・・・ いろいろあるけど、“日本離れ”というか、日本的なチマチマしたところがない・・・ それがとても肌にあった」

2月1日 (半)恒例のレッドシューズでのお誕生日イベントには顔を出せず、申し訳ありませんでした。 どんな会でしたか?
「思ったより人がたくさん来てくれて(思いがけない人も含めて)遅めの新年会の趣きもあり、またジプシー・バガボンズというバンドがとてもよかった。 そして相変わらず大量のシャンパンがあき・・・ こんな大騒ぎの夜もたまにはいいなと思った・・・」

1月31日 今、北海道の網走で、この「永遠の質問」を書いているのですが、やっぱり気候というものは人の気持ちやものの考え方に大きな影響を及ぼすもの だと改めて思い、そういえば、昔、ジャカルタでもそんなことを感じたのを思い出したのですが、立川さんはそんなふうに感じることはありますか?
「絶対にある。 だって水上勉や五木寛之、もっと言えば太宰治あたりの作家が九州や沖縄から出てくるとはとても思えないだろう。 宮沢賢治にしてもさ・・・」

1月30日 立川さんは仕事やプライベートで旅をする時に、可能な限り完璧に身の回りのものを持っていきますか? それとも、「まあ、何か足りなければ行った先で買えばいいや」と思うほうですか?
「僕の旅行は最近というか、ここ10年ぐらいで劇的とも言えるほど荷物が少なくなっている。 これだけあれば大丈夫という目安もはっきりしているし、だから行った先で買えばいい、ということも考えない。 これが旅を負担にしない。 そして日常と同化させる秘訣かも知れない」

1月29日 「分相応に生きる」ことって、実はかなり難しいことで、いろんな努力やら積み重ねが必要なように最近思うのですが、立川さんはどう思われますか? 「分相応に生きるコツ」のようなものがあったら教えてください。
「これもコツはない。 文字通り “分相応” に考えるしか・・・」

1月26日 物事を進めるスピード感が合わない人と、それでも何かを一緒にやらなければいけなくなった時、そのギャップを埋める良い方法があれば教えてください。
「これはバンドで音楽をやるのとか、プロレスの試合の間合いのとり方のようなもので、スピード感とテンポ感、それにタイミングをうまく計ればいいんだよ。 勿論完璧になんてできないけど・・・」

1月25日 立川さんは、いわゆるバックパッカーのような旅行をしたことはありますか?
「残念ながらない。 だからしばらく前だけど、レオナルド・ディカプリオが出ていた 『ビーチ』 とか最近の怪作 『ホステル』 のような映画を観ると、若かったらやってみたいなと夢見心地に思うね」

1月24日 立川さんは「他人と敵対しない生き方の達人」だといつも思うのですが、そういう方法を身につけたきっかけみたいなものってあったのでしょうか?
「きっかけなんてなかったと思う。 ただ子供の頃からずっと食事ひとつとっても外の人達とつきあっている環境だったし、仕事も早く始めたから自然に身についたんじゃないかな。 でも “達人” なんて思ったことは一度だってないよ」

1月18日 今のような生活をするようになった過程でご自分が “失ったもの” は何かあると思いますか? あるとすればどんなもの(こと)ですか?
「自由な時間だろうね。 それに尽きる。 特に “引きこもり” の間にそれを実感した」

1月17日 立川さんは、どんなことで褒められたり評価されたりすると一番うれしいですか? 内緒でなければ教えてください。
「どんなことでもほめられたり評価されればうれしいよ。 特に手紙とかFaxで、プロデュースした展覧会がよかったとか映画がよかったとか書いたものがよかったとかいわれるとうれしいね。 ずっと昔から、それってはげみだもの」

1月16日 今月は立川さんの誕生月ですが、今まであった思い出深い誕生日の出来事を教えてください。
「50回以上も誕生日を迎えると記憶は混濁している。 人間の記憶なんて4才ぐらいからだろうけど、4才か5才の時の豚の丸焼きと、90年代の初め頃にウインダムヒルの創始者のウイリアム・アッカーマンのヴァーモントの山荘に打合せで滞在していた時にシャトーラトゥールをあけてお祝いしてくれたこと。 あと2年ほど前のマッケンジーと一緒のPBでのバースデイ・パーティーも最高に楽しくてMADだった」

1月15日 そもそも、立川さんにとって今、「仕事」というのはどういう存在なのでしょう?
「ずっと、そばにいるもの。 逃れようとしても逃れられない。 いつからか自分の趣味の領域にまで入り込んでしまい・・・と、話は始まるけど、これについても、一度ゆっくり話したいね。 “引きこもり” ですっかり元気になり、何か懐古的な気分にもなってるから」

1月12日 会社四季報などを見ていると、「世の中にはずいぶんいろんな商売があるもんだなぁ」と思ったりするのですが、立川さんはエンターテイメント業界に足を踏み入れて以降、全く畑違いのビジネスを手掛けてみようと思ったことはありますか? もしあれば、それはどんなビジネスですか?
「いろいろ考えたことはあるけど、僕にとっては全てがエンターテイメントだから・・・ね。 わかるだろう?」

1月11日 東京と地方のいろいろな意味での “活力” の格差はこの2年程の間にもさらに広がってきているような気がします。 大都市以外の地域振興について、立川さんは今の時点でどんなふうに考えていますか?
「前にも話したけど、“限界集落” の問題や、“シャッター通り” の拡大化など、世の中はひどいことになっていると思う。 これも一度キャメロンとまじめに対談でもしようかって感じなんだけど、フェラーリの社長が2千万の車の話をしてるのと、夕張の破タンの話が同じ新聞に載ってるのが、今の日本の現実なのかもしれないなあ」

1月10日 お正月はゆっくり休めましたか? 「引き篭もり生活」の中で、何か起きたことや感じたことがありましたら教えてください。
「もう丸9年になるけど、やっぱり時間や世の中の流れから隔絶された “引きこもり” というのは本当にいいものだ。 自分にとって必要なのだと実感。 年明け最初のCDはデヴィット・ギルモアの 『オン・アイ・アイランド』 のスペシャル・エディション(DVDつき)でうまくはまり、あとはジェームス・ティラーやドアーズ聴いたりしてると、-ソニー・ロリンズの新譜もよかった- 身体がしびれる僕の酔いも手伝って時空の旅をしている感じだった。 それについて話したいことはたくさんあるな」

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